弐之半 《女王》
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見分け方が難しい為、ほぼ確実に苦戦を強いられる
ある元テスターが言うには、『群れのリーダーを倒せば全部倒れるから、そこが弱点だな。逆説それ以外無いような気がする』だそうで、慣れれば看破するのは簡単だそうだ。
「(まぁ、俺達は誰一人元テスターじゃないんだが……)おっと……っ」
心中で苦笑し、再び迫ってきた横殴り軌道の爪を首を倒して避ける。
二体の狼の追い打ちじみた噛み付きに対し、彼は逆手に持ったダガーを横向きに一閃する。
線を切り抜かれて二体の狼が一瞬固まり、そして爆散した。
「ウオオォォッン!」
直後、群体のリーダーが大きく叫び、狼が一匹追加された。
「……成程、あいつか」
小さく呟いて、線を視る。
大型犬と同程度の狼の身体には二本、首に一つと顔から尻尾にかけて一つ。どちらも即死ポイントだ。
「シン、チルノ、ちょっと頼めるか?」
「――――……何分引き付ければいい」
シキの意図を即座に察したシンの言葉に、「頼もしいな」と笑みを浮かべて人差し指を立てる。
「了解した。チルノ」
「わかった」
軽く溜息を吐き出し、チルノが群れの最前線へと突っ込んでいく。
リーダーの危機と認識したのか、三体のグリージョ・ルプスが吼えながら飛び掛った。
「シキィッ!」
狼達の攻撃を受けながら、振り返らぬままチルノが叫ぶ。
シキは一瞬の逡巡の後、小さく頷く。そして狼の長を視界に収めながらチルノへと走り、その肩を蹴って大きく飛び上がった。
大きく飛び上がった彼はチルノとシンに殺到していた狼の群れを飛び越え、長の目の前に着地した。
「ウオォン……!」
僅かにたじろいだ後、狼の長は低く吠えて牙を剥いてシキに飛び掛った。
シキは静かに刃を振りかぶって、首の線を切り裂いた。
断末魔の叫びを上げる代わりに迸るライトエフェクトを、花火のように滴らせ無数の欠片となって消えた。長が消えたことによるものか、狼の群れは長と同じ様に欠片へと成り果て、虚空に失せた。
「……じゃあな」
ぽつりと呟いて、空を振り仰ぐ。
仰いだ空に無数のポリゴン片が溶けていき、それはそれは幻想的だった。
「シキ、どうかしたのか?」
「うん? いや、何も」
微かに微笑んで、彼は雨が降りそうな雲だなぁ、と心の中で一人ごちて、二人の仲間と共に森の奥へと歩を進める。
○●◎
「ねぇ、シキ」
「ん、何だチルノ」
「……何ていうか、辛くないの? その眼」
チルノの質問に、シキは「さぁな」と首を捻る。
「さ、さぁな、って……」
「まぁ辛くない、って言えば嘘になるけどな」
シキはこの眼――《直死の魔眼》の影響で、常に線が見えている。瞼を閉じた所で見えないだけで、常にそこには線が在る。
「(世界、ってのは……ここまで脆いんだよなぁ)」
手を伸ばしてダ
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