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ソードアートオンライン 弾かれ者たちの円舞曲
弐之半 《女王》
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《ソエリア》の宿屋にて。
「クイーン? 何だよソレは」
シキはシンとチルノと共にレベルアップに勤しんでいた。
その最中、シンがNPCから聞いた話だ。
「ああ。そこのNPCのオッサンから聞いた」
シンは言って、宿屋の一角を指す。
そこには以前、《アウリスの羽》のクエストを依頼してきた少女と話している、布でできた作業着を一枚着た恰幅のよい中年男がいた。
「普通のクエストではないらしい。何らかの条件を満たしたから聞けたんじゃないか?」
シンの台詞は曖昧だが、まぁ後で自分で聞いてみればいいか。
自分の思考に決着をつけ、シキはシンの言葉に耳を傾ける。
「前行った森があるだろ。その森のチルノと出会った更に先、そこの最奥に居るらしいんだが」
「……そういえば聞き忘れていたけれど、『何』のクイーンなの?」
チルノの質問に、シンは若干躊躇って、
「ネペントだ。《リトルネペント》の女王だから、《クイーン・ネペント》というらしい」
そう答えた。

      ○●◎

作業着の中年男にクエスト受注の旨を説明し、宿屋を出て一言、
「正直、気乗りしないんだけど」
俺も同じだよ。
チルノの発言にシキもそう反応したかったが、流石に自重した。
理由はこのパーティーのシンを除く二人が、ネペントの《実つき》の実を切っている経験があるためだ。
更に《クイーン・ネペント》討伐の報酬についてはシン曰く、
『知らん』
の一言だった。
「……気が重い」
「そう言うなよ、シキ。経験値多分多いぞ?」
そうは言っても、シキの表情は果てしなく微妙だった。
「別に俺は戦いたいわけじゃないんだが……。まぁ、いいか」
観念した風に肩を竦めて、シキは宿屋から出て村の門へと向く。
「行くんだったらさっさと行こうぜ。日が暮れちまう」
「「(割とノリノリだなぁ……)」」
と、いうわけで、特殊クエスト《女王》は開始されたのだった。

      ○●◎

「フオォン!」
灰毛の狼、《グリージョ・ルプス》の鋭利な爪がシキに繰り出される。
「うおっと」
狼の爪撃をひょいっと身を逸らして躱すと、更に別方向から爪撃が飛んできた。
これも余裕の態度で避け、二体の狼は大きく距離を取った。
「……ちと厳しいかな?」
苦笑いを滲ませたシキの台詞に、狼はグルル……と喉を鳴らしつつにじり寄ってくる。
狼の数は七体。だが、一体一体の強さはそこまででもない。通常なら弱点にソードスキルを当てるだけで倒せるような相手だ。
それでもシキが《グリージョ・ルプス》を『厳しい』と評した理由は、狼達が一体のリーダーを中心に統制の取れた動きと、そして一撃離脱を駆使した巧みな戦術を組み立てているからだ。
更に群れのリーダーは狼を最大七体まで呼ぶことが出来るし、なおかつリーダーの
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