間幕:Ir de tapas (軽食屋巡り)
Diolch i'r byd / 世界に感謝を
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獣妖《プーカ》は一瞬で鹿の姿をとり、森の奥へと走り出す。
「あぁっ!」
「馬鹿! 何やってやがる!!」
他の猪人たちが口々に罵声を放ちながら獣妖を再度捉えようとするが……
――そんな事はさせない!
カリーナはその両手を火神への祈りの形にそろえると、炎の壁の加護を祈る。
次の瞬間、まるで空中を真紅の布が踊るようにして灼熱の壁が猪人たちの行く手を遮った。
「な、なんだ!?」
「この女、魔術師か!?」
正しくは勇者なのだが、猪人たちにそんな違いが判るはずもない。
「た、立ち去りなさい! 今すぐに!!」
震える声で、恐怖しそうになる心を懸命に押さえつけて、カリーナは彼女の中にある"ありったけの感情"を武器にして猪人たちにたたきつけた。
「はン、こいつ震えてるじゃねぇか!」
「くくく……その余裕がいつまでもつか見ものだ……ぷぎゃっ!?」
次の瞬間、カリーナの放った炎の壁が前に押し寄せてその猪人の鼻面を焼く。
「は、早く立ち去りなさい。 わ、私がコントロールを間違えてこの森ごと灰に変えてしまう前に!!」
事実、炎の壁はカリーナの意志を外れようと怒りもだえている。
この炎自体が彼女に加護を与えし火神"太陽の嗣子"の一部であり、カリーナに敵するものに対して激しい敵意を抱いているのだ。
何の制御もなしに解き放てば、森どころかこの国が全て消えるまでその聖なる炎を放ち続けるだろう。
返す返すも人が扱うには過ぎた力である。
直接攻撃に使うことは出来なくても、こんな足止めのような使い方ならばまだ恐怖に耐えられる。
「ま、まずい……こいつ暴走するぞ!」
そのいつ狂うか判らない不安定さを見て取ったのか、猪人の顔にようやく焦りが見え始めた。
「はやく……逃げて……もぅ……もたない」
苦しげに声を出すカリーナだが、実は半分ほど演技だ。
まぁ、たかが猪人にこの演技を見破られることはないだろう。
なにせ……あまり自慢にはならないが、神殿関係者にこの力を当てにされないよう、なんども練習を繰り返して暴走する手前のフリをやってきたのだ。
そもそも、破壊の権化である悪魔の炎ならばともかく、自ら意志を持つ神の炎がそう簡単に神子を無視して暴れたりするはずが無いのに、知らないというのはなんとも哀れなものである。
「に、逃げろ!」
「嫌だ! 俺は死ぬ時はキシリア様のチャーシューになるって心に決めているんだ!」
「お、俺このピンチを切り抜けられたら故郷の彼女に告白……」
「「そこ、今すぐ黙れ!!」」
「そもそもお前に彼女いないだろ!」
口々に妄言を吐き散らし
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