間幕:Ir de tapas (軽食屋巡り)
Diolch i'r byd / 世界に感謝を
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ぁ、こんな事が今までに無かったわけではないし、彼女の気まぐれは今に始まったことではない。
「スクマ・ウィキはここ。 まだちょっと早いから、葉っぱも小さくて柔らかいね。 蕃茄ももう少ししたら収穫できるね。 あと、ちょっと終わりかけだけどホウレン草も持ってゆくといい。 前にキシリアちゃんが『一緒に混ぜると苦味や癖を緩和できる』って話していたから、必要になるかもしれないしね」
ホウレン草を混ぜることは知っていたが、その理由については初耳だ。
カリーナはそのときになって、キシリアに自分から何か考えて質問した事がなかった事に気づいた。
――そっか、キシリアは全部を勝手に教えてくれるわけじゃ無いんだ。
「ちなみにそれはどうやって料理するんだい? ウチの亭主も最近は料理されたモノを食べたいってうるさくてねぇ」
キシリアのせいで、最近は調理されている食べ物しか食べたくないという魔物も増えているらしい。
そのうち弁当屋じゃなくて普通の料理店が開けるかもしれないと、キシリアが嬉しそうに話していた事を思い出す。
「まず、刻んだ玉森髭を油と一緒に熱を加えて、透明になったらスクマ・ウィキとホウレン草、あとは好みで塩とスパイスを入れて混ぜ合わせます。 蕃茄も一緒に混ぜていいらしいです」
さすがに分量は覚えていないし、細かい部分は自分で試行錯誤しろってことだと思う。
店に帰ったら、自分だけのレシピを書き留めるためのノートをお願いしよう。
「へぇえ……そうだね、スパイスなら薬品の調合でも使うからむしろこっちの専門さね。 何かいい配合があったらこちらからも情報提供するよ」
「ぜひ……お願いします」
案内をしてくれた医熊人の農婦がその辺にいたポレヴィークたちに欲しい作物を告げると、ほんの3回ほど呼吸をする間に両手でも抱えきれないほどの作物が収穫された。
「ふむ、ちょいと多すぎるねぇ。 その量だと持ち帰れないだろう? ポレヴィークたちに頼んでおくかい?」
「いえ……このまま自分で持って帰ります。 案内してくださってありがとうございました」
とは言うものの、正直荷物が多すぎて前がよく見えない。
フラフラと危なっかしい足取りで帰ろうとするカリーナを見かね、近くで様子を見ていたポレヴィークがたまらず声をかけた。
「なら、背負い籠を借りてゆくといい。 回収は次に作物を届けるときについでに行うから」
「……ありがとうございます」
さすがに盗賊が出るような場所をこんな状態で歩くのは抵抗があったのだろう。
カリーナは素直に好意を受け取った。
案ずるより生むが易しではないが――それにしても、うまくいったものである。
お土産にもらった野苺を摘みながら、カリーナは家路を
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