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【IS】何もかも間違ってるかもしれないインフィニット・ストラトス
役者は踊る
第十幕 「全てはこの一歩から」
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い動きに見学者たちは驚きを隠せなかった。ユウの“格闘技”というのがどの程度のモノなのか、それを誰も知らなかったからだ。この場で彼の苛烈な一面を知っているのは千冬と、恐らく会場のどこかで見学しているであろう兄のジョウ、そして未だ気絶している一夏だけ。
本来、ISで徒手空拳は無謀な行為とされる。それはISが想定していない戦闘方法であり、実際にやると腕部にかかる負担があまりにも大きいだけでなく反動を打ち消すためにシールドエネルギーまで消費するからだ。だが、この“投桃報李”はそれを可能にさせる。強靭なバリアで包まれた拳は、バリア自体の強度も相まって立派な武器と化す。
そもそも、風花とは本来こういう機体なのだ。“極限まで人体の動きを模した格闘専用IS”という時代錯誤の馬鹿馬鹿しいコンセプトのもとに、極限までタイムロスを削り取った反応速度と関節の自由性と柔軟性、大きすぎて使いづらい脚部の小型化にまるで本物の手のように精巧につくられたマニュピレーター。今までのISでは出来なかったごく小さな領域の技術が反映可能となっている。代償として過敏すぎる反応にパイロットがついていけないという本末転倒な結果になったため倉庫で埃をかぶることになったが、今こうして動いている以上は成功と言えるだろう。
全てはこの動きのために。全てはこの連撃のために。そしてたった今、風花は今その本懐を遂げている。
(思い通りに動く・・・寸分のずれなく、僕の感覚にぴったりISがついてくる・・・!)
ユウは全力で体を動かしながらも、不思議な感覚に囚われていた。今まで、人生で一度も体験したことのない戦いをしている、という得も言われぬ昂揚感。今の自分ならどこまでも行けるという、根拠のない確信。
それは、今までIS操縦者の誰もが見たことのない光景だった。いや、世界の誰しもが見たことのない世界だった。この広い世界で、ユウと風花だけが見ている世界。
(これがIS・・・!知らなかった。こんな凄いものを僕は動かせるんだ!)
いける。僕はまだ進める。
風花
(
こいつ
)
と一緒ならどこまででも――
ユウはここに来て初めて、IS《インフィニット・ストラトス》という存在に夢中になった。
《風花、シールドエネルギー残量ゼ――》
「でぇぇぇぇぇぇぇぇいッッ!!!」
最後の拳がブルー・ティアーズに突き刺さった。その一撃は直撃し、八方の彼方へと吹き飛ばすような衝撃と共にブルー・ティアーズをアリーナのバリアに叩きつけた。
= = =
「え、えーっと・・・これ、どうなったの?」
「データ上は風花のシールドエネルギーが先に0になっています。ただ・・・」
「最後の一撃でブルー・ティアーズのエネルギーもゼロになってしまいましたね」
モニタールームは何とも言えな
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