暁 〜小説投稿サイト〜
【IS】何もかも間違ってるかもしれないインフィニット・ストラトス
役者は踊る
第十幕 「全てはこの一歩から」
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がライフルを連射して牽制するが、そのすべてが空を踏みしめた方向転換で躱される。PICやスラスターだけでは到底できるはずもない滅茶苦茶なジグザグ軌道。まるでそこに足場があるかのような、そんな動きだった。
突然の事に動揺を隠せなかったセシリアだが、すぐさま事態を飲み込んだのかインターセプターで僕を迎え撃つ。

「第三世代型武器・・・それも空間圧縮技術とPICを組み合わせたものと見ました!」
「何の事かなと言いたいけど・・・ご明察!!」
「虚空に足場を“作る”なんて・・・発想が斜め上に突き抜けてますわね!」

“投桃報李”。指定した座標の空間を瞬時に圧縮し疑似的なバリアを形成、それを同じくバリアで保護した足で踏みしめると同時にPICで慣性を一気に反転させる。結果として虚空を踏みしめた様な挙動が出来るという訳だ。加速したら曲がれなくなるこの機体にとっては正に命綱と言っても過言ではない。またこいつは単純にバリアで敵の攻撃を防いだりすることもできるが、今はそんなことを考えている暇はない。

この土壇場で、しかも一目でここまで解るなんて、やはりセシリアさんは頭脳も実力も本物だと思い知らされる。流石に丸腰で突っ込むわけにはいかないので腕部に篭手のような装備 “義聖”を盾代わりに展開し、インターセプターの鋭い突きを受け流す。

「今のを受け流しますか!」
「接近戦が出来るのは一夏だけじゃないのさ!!」
「ですが、そうそう何度も出来る事では・・・無い!」
「くぅっ!!」

その言葉と共に左腕部が切り裂かれ、絶対防御が発動する。義聖は本来パイルバンカーに近い武器であるため剣戟を受け流せる形状をしていない。しかし、もとより近づいた目的はこれを当てる事ではない。
シールドバリアーが大幅に削られる。投桃報李の使用によるエネルギー消費も含めればエネルギーはもう6分の1も残っていないという事実に焦燥が募る。
(いよいよ余裕がなくなってきた・・・!けど!)

「ここまで近づいてしまえば、こちらのもの!!」

その言葉と共に、“投桃報李”を両拳に展開させる。これが投桃報李の本当の使い方。

「ふんっ!!」
――がきぃぃぃん!!
「なっ!?ブレードが!」

――ISで殴り合いをするための技術だ。

先ずは拳を一発。防ごうとしたブルー・ティアーズのインターセプターが大きく後ろに弾かれる。投桃報李のバリアーは単純な力場と斥力を持った力場の二種類を形成できる。斥力バリアで覆った拳は物や相手を弾き飛ばすことに、そして――通常バリアは直接攻撃に向いている。

「せやぁぁぁぁ!!」
――ガキャァァン!!
「きゃあっ!?」

一瞬呆気にとられたその隙を逃さずもう一発。今度は胸の中心部に叩き込む。絶対防御で防がれるが、バランスは未だに崩れた
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