第三章
そして彼の矯正が始まる。
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て、その隔離病棟に送り込まれた、筈なのだが、
「どのような経緯で俺は職員室に連れて来られたのでしょうか、平塚先生」
朝っぱらからキツいぜ、平塚先生ェ。朝は寝かせてくれ。
「いや、すまないな桐ケ谷。……実は君に奉仕部の部長を任せたい」
「いやいやいや。そんなの桐ケ谷くんに頼めばいいでしょう。どうして桐山くんに?」
「くっ、お前は桐山だったか……」
失礼にもほどがある。……それと、人違いだったか、みたいなニュアンスで言うのやめて。
「それで、この桐山霧夜に奉仕部の部長を頼むんですか?」
「君に期待しているから、では駄目か」
平塚先生は潤んだ目でこっちを見てくる。
何だよこの状況。……心なしか気を遣われてる気もする。
「まあ、そこまで言うなら、奉仕部の雪ノ下雪乃さんを俺の専属メイドにするという条件付きで引き受けてもいい「いや、やっぱりやめろ」……そうですか」
何だよ期待させやがって。いや、実際なんも考えちゃいねぇけどさ……。
俺が退屈そうに目を瞑ると平塚先生は優しい口調で言う。
「ただ、君の優しい嘘に関しては評価している。あれは結果として由比ヶ浜のためになったのだから。……それも彼女自信の力で」
「酷い偶然ですね」
「ああ、偶然だ」
――ただ。と平塚先生は付け加える。
「その偶然は君の嘘、まやかし、ぬか喜びのお陰で生まれたんだ。君が正直に『自分はその努力虚しく不幸になった』と言えば、彼女がプラスに向かうこともなかっただろう。まあ、それは『料理が上手になってみんな幸せ』をプラスとした場合だが。……もっとも君の場合、目の前はマイナスだろうがな。君は『料理が上手になってもみんな幸せでもなく、自分は不幸せ』なわけだからな。いや、もしくは『みんなそれぞれそれなりに幸せだけど、その幸せに君は関係なくて、一人で努力してくたびれる君は不幸せ』か? 君だけが努力を嫌っているんだと今になって気づいたよ」
「大正解です、おめでとう。実に無意味だ、すばらしい。あなたはいい先生だ。よし、僕も変わらないといけないな。明日明後日明明後日からがんばろうか迷うなあ」
「怖くて鳥肌がたつほどに棒読みだな……。一寸も感情が籠っていない。……なのに国語の成績も優秀で、感情の読み取りも得意というのが、また末恐ろしいな」
「ほ、褒めても何にも出ませんよぉ……」
成績優秀だなんて。あんまり褒めても男が出せるものなんて――(規制)。
「つまり、君にも成長してほしいんだ。プラスでもマイナスでもいい。一番怖いのは、何も変わらないことだ。君の場合は特に、ね」
「だから突然部長などと……」
「そうだ。……桐山? お前は奉仕部を『歯の噛み合わせか!?』と言ったことがあったな。……よくよく考えると、君の場合はこれ以上の
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