第三章
そして彼の矯正が始まる。
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『へ、う、ああ…、お。…大丈夫、すまん。……くっ、やはり追手がいたか…っ!』
「お、追手!?」
転んだんじゃねぇのかよ。いったい何者なんだ! 追手ってお前、アニメでしか聞いたことないよ!
『はぁはぁ、くそっ。もしかして、俺、× × × × × がこの七回目の世界の、新しい 永久欠神「名も無き神」だと気づかれたのか……? まずいな……奴等より先に「失せ御堂ローグ」の転生体を探さないと……。俺は一人、孤独な戦いだな……フフ』
……な、名も無き神? う、失せ御堂ローグ? てっ、テンセイタイ? 何じゃあそりゃ!?
――って言うか七回目の世界って何だ!
俺は混乱した。あの時のように。そして、その時した質問を繰り返す。
「君も孤独なのかい? 僕と同じぐらいの年だと思うんだけど…」
『……まあ、そうだな。だがまあ、孤独なのは仕方がないだろうな。……俺は名も無き神の転生体。凡庸な奴らとは対等にはなれない。……まあ、孤独な奴のほうが強いんだ。君もってことは、お前もなのか?』
「……うん、とっても孤独だね」
俺は昔ほど暗い言い方はしなかったが、『彼』に事の顛末を話した。
全て語り終えると、彼は言った。
『一人でもいいだろ。別にお前が悪いわけじゃない』
「ありがとう。……君はどうなのさ?」
俺が尋ねると、彼は雄弁に語った。
『はっ。みんなで助け合うとか言って妥協しあってる奴らと、一人で戦い抜いてきた奴と、どっちが強そうだと思う? 答えは百戦錬磨の一匹狼に決まっている。……強い者はみな孤独ってイメージがあるだろ。ヒーローだって孤独なのはいるだろ? ……なんつーの? ダークヒーローみたいな……』
「確かに……」
俺が好きなヒーローは一人でベクトルを変え、一人の少女を守っている。……ただ酷く我儘にも思えるが、彼の償いそのものは間違っていない。
……ただ、目の前の彼はヒーローなのだろうか。
「君は誰か守りたい人がいるの?」
『守りたい……と言うより、直したい、作り替えたいものがある』
「それで救われる人もいるんだね」
自分自身、とかさ。
『……』
彼は黙ってしまった。……コートが風に吹かれ、不気味に揺れる。
『絶対に「世界」をやり直さないといけない……』
そう彼はこぼした。……刹那、強い風が吹き付ける。不気味にたなびいていたコートが夜風に舞う。
妖しく光る月を見て、彼が言う。
『……くっ! これは風精悪戯! ……まさかハーティア!? まずい、逃げるぞ!』
「ちょ、まっ……」
ぐい、と腕を引かれ、俺は走らされる嵌めになる。……ちょ、痛い痛い! 夢なのに、夢じゃなかった!
――ってジゴロがいっぱいコレクションのことはもういい。…
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