第三章
そして彼の矯正が始まる。
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待しているのは『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。VITAで登場!』くらいか…。いやはや夏が楽しみである。
「……」
特にすることがない。もう、外は暗いが両親は帰ってこない。……いまさら育児放棄か? いや、勘当されたのか……? って、それはないか。俺のこと覚えてないんだし……。
暇をもて余して もて甘して、俺はサファリで買ってもらったフラッシュボールをベッドの上から床に向けて投げつけた。衝撃を受けた二重構造になっていて透明のカバーの中に、もう一つ絵の描かれたボールが入っているソレは、くるくると透明のカバーだけが回り、絵だけ微動だにしないという摩訶不思議な現象を起こしていた。まあ、ボールとカバーの境目にオイルの層があるというだけなのだが……。
……俺も、多分僕も、その虹色の光とそれに重ね合わせた思い出を、綺麗だと思いずっと眺めていた。
そのうちボールの光が朧になって来たとき、ゆっくりと自分の目の前は暗くなっていく。
――そして、その玩具の点灯時間が終わった。
× × ×
気がつくと夜の公園にいた。……一瞬、公園にいる理由を真剣に考えたが、どうやらここは現実とは違うようだ。自分の姿が僅かに幼くなっていた。髪が短くなっていたのですぐに気づいた。
――このときの自分はまだ髪を切っていたということにも。
つまり、中学生のころだ。公園という場面から察するに、忘れられた直後、中学二年のころだろう。
もう何も信じられなくなっていたころでもある。
「あー、懐かしいな……うん。それにしても暗いなぁ、何か白いもやもやしたのもあるし…。なんだこれ、霧?」
まるでドライアイスの演出のようだ。足下にまで白い霧がかかっている。……現実にこんな記憶はないが。
『うおおぉっ!』
「……っ!?」
人影が倒れ込んで来た。……どうやら砂場に足をとられたらしい。
その男は暗くて良くは見えないが、何やら怪しげな、妖しいコートを着ていた。妖しいというのも、まるで映画で魔術師やエクソシストが着ているようなコートにそっくりだったからだ。
暗くて影のようにしか見えないが、男は持ち手に大きな二つの穴が空いている剣を持っており、右腕には何やらビニール袋を持っている。これも暗くてよく見えないが、赤青黄、そして、白い色が光のように見える。中に入っている物の大きさ、厚さからして書籍だと思われる。
――カラフルな本? ……まさか魔道書か!?
俺はこれを見るのは二度目だったが、何でか目を見開いてしまった。……うーん、現実で見たのと同じように、少し薄い気がしなくもない……。
とりあえず前と同じように駆け寄る。
「あの、大丈夫ですか?」
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