第三章
そして彼の矯正が始まる。
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……サブレ? え、あれか? 小学生のころ鎌倉へ修学旅行したとき、売店でたくさん売ってた鳩さんの形したアレか? サクサクして、とても美味しいよね。
それを散歩だなんて…、もしや! まだ病んでる!?
俺は、くわっ! と目を開いて由比ヶ浜さんを見つめる。
「え、どどどどーしたの!? 急に見つめられても困るよ…っ」
俺が由比ヶ浜さんの目を見つめたままゆっくり近づいて行くと、由比ヶ浜さんはまた後ろに目を逸らした。……後ろ? 後ろに誰かいるのか?
俺はひょい、と斜めに背伸びして由比ヶ浜さんの後ろを見る。
「……ん? あ、何だぁ、犬か」
「え、ああそう。えっとこれね、家のサブレ!」
「サブレなんて変わった名前だ」
「そお? 桐山くんの名前はどうなの?」
「いや、俺の名前なんか誰も覚えてねぇし」
……何て言うのも女々しくて嫌なので、軽く済ませることにした。
「……霧夜。霧の夜に産まれたから、霧夜……」
「へぇいい名前だねっ!?」
「霧の夜なんて不気味に思えるがね…。まるで、誰にも相手にされない、夜に溶け込んだ霧みたいだ。名前すら満足に覚えてもらえない僕らしいね」
「……」
女々しいことを口走ってしまった。……ちなみに霧の夜にどうたらこうたらは昔、両親から聞いたことなので全くのうろ覚えである。
「サブレはいいなぁ、首輪があって……。少しボロいけど、名前が書いてある」
「……く、首輪かぁ……」
「ん、どうかしたかい? 由比ヶ浜さん」
「ううん、何も! また明日!」
そう言うと由比ヶ浜さんはコンビニに入っていく。いや、俺も今入るとこなんですけど……。
「それと由比ヶ浜さん? コンビニにはクッキーの材料なんかほとんど無いぜ?」
普通スーパーとかじゃない? と付け足しておく。
「ああっ、そうか、ってそうだよね! あうう〜、じゃあね桐山くん! 明日クッキー楽しみにしててね!」
「ははっ、またね♪ クッキー楽しみにしてるよ!」
そう由比ヶ浜さんの背中に言って、俺はコンビニから出た、もう暇潰しには十分な時間だった。
……それにしても、サブレ。お前、首輪外れそうだぞ。……ぜってー離すなよ、由比ヶ浜さん。
「はぁ、家に帰って『討○伝 ―体験版―』やろ……」
その後、うっかりバールで玄関を開けようと試みたところ、自宅でセ○ムされるかと思ったが、機械が俺を察知しなかったので平気でした。てへっ☆ ぺろっ☆ きーん☆
× × ×
家に帰ってからというもの、ずっとベッドに寝転がりながらゲームをしていたら、もう夜になってしまった。ちなみに『○鬼伝 ―体験版―』はかなり期待以上の出来で、只今購入が確定した。……あと期
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