第79話 =終わって始まる物語=
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「それじゃあ、今日はここまで。明日小テストするからしっかり復習しておくように」
授業の終わりを知らせる鐘が鳴り、数学の担当の先生が教室を出ると共に一気に部屋全体が騒がしくなる。この鐘の音はアインクラッド第1層はじまりの街のあの鐘と似たような音をしておりブラックユーモアを感じるがそれを感じ取っている生徒はこの場には一握りだろう。昼ごはんを求めカフェテリアへぞろぞろと談笑しながら向かっていくのがその証拠だ。
「……うぅ…死ぬー…」
最も俺は数学のせいで机に突っ伏しているけど…。この学校のノート代わりであるパソコンの操作にようやく慣れてきたところなのにさらに数学の公式とかもう頭がこんがらがってしょうがない。
「アンタ数学に関しては本当にアレね…」
突然目の前から声がして、顔を上げると見慣れた顔が。
「うっさいな〜…」
もう数学になると病気なんじゃないかってくらいに頭痛くなるんだよ。今度病院に行って検査してもらった方がいいのかなと思うほどだ。そんなことは露知らず、悠香は自分のスクールバッグを俺の机においてカフェテリアへの移動を急かしてくる。ため息をつきながらラケットバッグにパソコンとマウスを壊れない程度に投げ入れ背負う。このバッグ、あの時に斬られたが翠さんに裁縫を教えてもらって四苦八苦して何とか直したものだ。
「もう皆カフェにいるかな」
「リズとサチは同じ階だから途中で会うかもしれないけどシリカは下級生だからいると思うわ」
「ふーん……でさ、悠香さん」
「…な、何よ…」
「向こうの名前、ここで出すなよ」
俺が注意するとやらかしたと思ったのかハッとして口元を押さえる。が、何かに気付いたのかその手を下ろして口を開いてくる。
「……なら私たちどうするのよ!」
「……諦めが肝心だと思うんだ、人間って」
こっちで向こうの名前を出すのは慣れていてもマナー違反とされていて時々嫌な顔をされる…といっても本名の俺やユカやアスナは入学当初にわかってサチにリズやシリカ、さらにキリトも上層プレイヤーには通り名もあわせてばれているらしいがばれた人はばれた人でそのまま通している。無理にごまかそうとしてもごまかせないしなかったことに出来るほど俺たち全員大人ではない。それぞれ見てた夢じゃなくて現実だからそれぞれ自分の納得できる形で記憶に決着をつけなきゃいけない。
「時々お前も向こうの2つ名で呼ばれるしな」
「…言わないで…。あれってめちゃくちゃ恥ずかしいのよ……」
と、あさっての方向を向いて顔を赤く染めるユカ。それに笑いながらしばらく歩くとなんだか見たことのある顔がこっちを向いて手を振ってきている。
「おーい、遅いぞー!」
「大声出さないでくださいよ、リズ……里香さん」
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