ALO編
episode6 会議の席、勇者の底力3
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いことも、心のどこかで理解していた。案の定、煙が晴れるのすら待たずに黒い影が矢の様に飛びだす。ホバリングするユージーンへ一直線で突進、そして。
「なんだよさっきの攻撃は!」
叫び、巨剣を続けざまに叩きつける。SAOの頃に勝るとも劣らないその強烈な衝撃音を響かせる斬撃は、俺ならクリーンヒットを一撃受ければそれだけでHP全部持っていかれるだろう。重装備のユージーンでも、かなりのダメージだろう。
だが。
だが、それでも。
(それだけじゃ、ユージーンは落とせねえぜ?)
繰り出される剣戟を、ユージーンが確実に迎撃する。俺との戦闘であれだけの身のこなしを見せただけあって、その防御にも隙は無い。抜群のパワーとスピードを誇るキリトの剣も、そうそう簡単にはそのガードを貫けない。
再び繰り出される、『エセリアルシフト』の斬撃。
削られるキリトのHP。
このままでは、ジリ貧だ。伝説級の性能の差とはいえ、紛れもない敗北。
(……そんなものでは、世界樹の上には行けないぜ)
接近戦での打ち合いを不利と見てか、キリトが素早く一旦距離を取ってランダム飛行する。軽やかに宙を翔けるその羽根捌きは、各地を転々と旅した俺から見ても五本の指に入る練度の『随意飛行』。だが、対するユージーンもそれを追随するだけの実力者だ。赤い帯を引いてのスライスで一気にその距離を詰め、力強く斬りかかる。
(……さあ、キリト。このままでは負けるぞ?)
どうする。お前の力は、そんなものではあるまい。
(……あるだろう。お前があの世界で培った、その《片手剣》の更に上が、よ)
俺の声が、聞こえたわけでもないだろうが。
瞬間、キリトが動いた。
突き出された右手から迸る、幻惑系範囲魔法の目晦まし呪文の黒煙。
そこからの一瞬の動作は、まるで写真に切り取ったように俺の記憶に焼き付いた。
―――横から聞こえる、短いリーファの悲鳴。
―――叫ぶユージーン。唱えられる解呪スペル。
―――走る赤い光に、切り裂かれる黒煙。
そして。
「まさか、あいつ、逃げ…」
「そんなわけない!!!」
力強い、リーファの叫び。
そうだ、その通りだ。
(……あいつは、逃げない!)
『勇者』は、決して逃げないもんだ。
少なくともお姫様を……皆を、助けるまでは、決して。
(そうだろ? キリトよぉ!)
呼びかけは、空へ。
俺の高すぎる《索敵》スキルは、奴の動きをしっかりと捉えている。
空に輝く、最強の発光オブジェクト、太陽から突っ込んでくる、勇壮な一つの影。
俺には見える。
その手に携えられた、あの
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