ALO編
episode6 会議の席、勇者の底力3
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ルでも兄弟らしいがな。知の兄に対して武の弟、純粋な戦闘力ではユージーンのほうが上だと言われている。サラマンダー最強の戦士……ということは……」
「全プレイヤー中最強……?」
「ってことなるかな……。とんでもないのが出てきたもんだ」
「……キリト君……」
その横から聞こえる声は、先程まで対談していたシルフ領主サクヤと、キリトが連れてきたシルフの少女……ってなんだ、聞き覚えがあると思ったらコイツ、リーファじゃないか。なるほど確かに、あれだけの熟練した空戦の使い手である彼女なら、先程のキリトとの超高速飛行も頷ける。
マントを若干高く上げ、口元まで顔を隠すのは、反射的にだ。俺の顔……先日共に旅したプーカと(種族特性によって若干は異なるもののほぼ)同じ顔に気がついてカーソルを向けられれば、俺の正体がばれてしまう。勿論、ここまで一緒に来たケットシーの面々は俺がプーカの雇われ人だということを知っている。……が、出来れば今は、俺のことを勘付かれたくない。
(……あいつには、まだ)
他でもない、キリトに。
気を取り直して、再び対峙する二人を見つめ。
(さあ、見せてみろ! お前の力を!!!)
その視線の先で、赤と黒、二つの姿が激しく交錯した。
◆
(はやい……っ!)
サラマンダーという種族、そして自身の巨体を生かした重突進。相当の努力の積み重ねの上にあるだろう、完璧かつ俊敏な『随意飛行』。俺の跳躍すらも上回らんばかりの速度での、ユージーンの剣戟。そして、それに対するキリトの素早く剣を構えた受けの動作。
いずれも、俺の地上戦に匹敵する速度。
それを、地上よりも体の扱いの遥かに難しい、空中でだ。
(……『勇者』の力は健在、か……だが、)
甘い。
俺の心の中の声が聞こえたかの様なタイミングで、紅い《魔剣グラム》の刀身が薄く揺らめき、
「―――!?」
受け止めるべくキリトの構えた剣をすり抜け、その体を鋭く薙いだ。
凄まじい衝撃音を響かせて胸の中央を鋭く切り裂いた刃が、そのままキリトを地面に叩きつける。
《魔剣グラム》のエクストラ効果、『エセリアルシフト』。
物質を透過するその剣戟は、キリトの様に大剣といった重武器、或いは重武装の相手に非常に効果的だ。俺の様に何も持たずにただ回避するならともかく、あれだけの重しを抱えて広範囲への薙ぎ払いを避けるのは例えキリトでも相当に難しい。ましてや、これは空戦。体のこなしは、地上より何倍も困難だろう。
地面へと衝突したキリトの、轟音を立てての派手に土煙。
(そんなもんか? キリト)
捲き上げられた土埃の中にむけて、心の中で呟く。しかし、呟きながら同時にそれがありえな
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