プロローグ
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ふと、目が覚めた。
「何だ?
此処は?」
まわりを見ると一面真っ白な世界だった。人も建物も何も無い。
白い世界だけが広がっていた。
文字通り地平線の先の先まで真っ白だ。
上を見上げても空ではなく白で染まっている。
「確か俺は・・・・・」
俺、藤島縁はさっきまでの事を思い出してみた。
俺は今、すごく気分がよかった。
なぜなら、予約していた小説が買えたからである!!!!!
大学の講義中にメールが来た時は講義中なのに抜け出してまで買いに行ってしまった。
それほどまでに楽しみにしていた物なのだ!!!!!!
俺の手にはさっきの書店が買った本の袋がある。
もちろん、この中には例の小説が入っている。
早く読みたい、読みたくてたまらない。
俺は小説が大好きだ。
子供の時は小説を馬鹿にしていたが、高校生の時に真剣に読んだ所、その魅力に気がついた。
以来、本の虫という訳だ。
「けど、講義中に抜け出したのはまずかったかな。」
俺は携帯を開けて今の時間を確認する。
まだ、授業は続いているので走れば間に合うだろう。
出席の確認も授業の最後に確認するので、それに間に合えば大丈夫だ。
俺はよく寝坊して授業を欠席してしまうので、次に欠席扱いされれば単位が不認定になってしまう。
これが取れないと必要単位を修める事ができないので、留年してしまうのだ。
「とりあえず、急いで教室に戻らないとな・・・・ん?」
単位について考えながら歩いていると、視界の端に車道路に子供が立っているのが見えた。
子供は自分の持っているゴムボールを車道路に落してしまったのだろう。
周りを確認することなく、子供はボールを拾いに行く。
その時だった。
それに合わせるかのように、子供に向かって車が走ってくるのだ。
運転手の方は携帯をいじっているのか子供に全く気が付いていない。
加えて、子供の方は迫ってくる車が怖いのかうずくまって逃げようとはしないらしい。
「まずい!!
助けないと!!!!」
俺は楽しみにしていた小説を放り投げ、子供に向かって全速力で走った。
「うおおおおおおおお!!!!!!!!!!」
多分俺が生きていた中で一番速く走れたと思う。
車が子供にぶつかる前に俺はヘッドスライディングの要領で飛び込み、子供を歩行者道路に突き飛ばす。
そして、気がついた。
自分は道路にうつ伏せで寝転がっている状況で、すぐ目の前には車が迫っていた。
「あっ・・・・・」
そして、目が覚めるとこの真っ白な世界にいた。
「もしかして、俺死んだのか?」
スピードはおそらく50~60程度は出ていたはず。
それが直撃したら、まず助からないだろう。
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