強き人
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やる…もし杖が地面から離れたら僕の負けで良い。どうだ…優しいだろ?」
「くそっ、ふざけやがって……だ、だったら俺様もサービスしてやるよ!」
馬鹿にされ頭に血が上ったナールが、勢いで口を滑らした。
「そうか。じゃぁルールとして、お前は僕が『100』数える内に攻撃を仕掛けなければ負け…攻撃さえ仕掛ければカウントはリセットされ、また『100』の内に攻撃すればいい!僕はこの場から動けないのだから、このくらいは当然だよな?ダラダラと戦いを長引かせても意味ないもんな!?」
ナールはリュカに渡された星降る腕輪を装着し、自身の素早さが大幅に上昇した事に驚き、そして強くなった様な錯覚に陥り、勝った気になってリュカに嘯いた。
「どうやらお前はどうしても負けたい様だな!?いいぜ…その条件で相手してやんよ!」
ナール本人も、自身にとって素早さが唯一の欠点と自覚していたので、その欠点を補填出来る星降る腕輪を是が非でも手に入れたく、血の気が全て頭に登りきってしまっている。
「ご託はいい…さっさとかかってこい…」
リュカは右手を地面に垂直に立てた杖の上に置き、左手でナールに向けて小馬鹿にする様に手招きをする。
「テメーの自信に満ち溢れた鼻っ柱、ポッキリとへし折ってやるぜ!」
リュカの挑発を受け、先程までとは比べ物にならない素早さを駆使し、左右へフェイントを織り交ぜたステップで移動し、後方の死角からリュカの手にする杖を蹴り払おうと突進するナール…
(ヒュッ!)(ドゴッ!!)
しかし杖まであと数センチの所で、リュカの強烈な後ろ回し蹴りが炸裂!
完全に捉えたと思っていたナールは、モロに蹴りを腹部に受け、血を吐き散らしながら10メートル程吹き飛んだ!
「1.2.3.4.…………………」
吹き飛んだナールの方へ振り返りもせず、大きな声でカウントを始めるリュカ。
「28.29.30.31.…………………」
しかしナールは完全に気を失っており、大声で響くリュカのカウントなど耳に届いていない。
「55.56.57.58.…………………」
生死が気になったティミーが、倒れているナールに近付き顔を覗き込む。
どうやらナールは完全に意識を遙か彼方へ飛ばしてしまってるだけで安心すると同時に、鼻持ちならないこの男が、白目を剥いた情けない顔で気絶している事に、思わずガッツポーズをする正義の勇者殿…
「97.98.99.………………100!」
リュカは少しだけ間を空けてから『100』をカウントし、最後まで倒れるナールに目を向けることなく、リムルダールの町へと無言で入っていった。
アルル達も慌ててリュカの後に続き、町へ進入して行く。
気絶する馬鹿から黄金の爪と星降る腕輪をティミーが取り返して…
リムル
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