亡命者は姫提督
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簡単に食いついたからなのだが。
ヤンがイズンに乗り込んだ時に銃を構えた帝国軍将兵と共に出迎えたのが、メイド姿の緑髪の女性であった。
「ヤン中佐。
お待ちしておりました。
お嬢様の所へご案内いたします」
(……帝国内で、回収されたアンドロイドが使われているという話だったが、どうやら本当らしいな……)
フェザーン経由で青髪のダウングレード版が輸出されているのだが、目の前にいる彼女は同盟軍が使っている緑髪のアンドロイドである。
人的資源の消耗を抑える為に大量投入されているだけあって、その消耗も毎年万単位で宇宙に消えている。
その1%が回収されて記憶を消去した上で再利用に使われたとしても100体。
大貴族の見栄に相応しい飾りだろう。
緑髪のメイドに案内されながらヤンは艦内を歩く。
もちろん、青髪のメイドも数多くいるが、艦隊母艦として見るとヤンが知っている同盟軍の艦隊母艦に比べると人間の比率が少ない気がする。
「この船はカストロプ家の別邸みたいな者ですから、信頼できる者しか乗せませんの」
ヤンの考えている事を見透かしたらしく、緑髪のメイドが口を開く。
それは、大貴族といえども亡命において信頼できる身内は少ないと暴露したも同じたったのだが。
「中佐の考えているとおりですわ。
この船団の主な船は自動航行および私達が運行しておりますの」
落ち武者と化した帝国貴族に人間が暖かい訳が無い。
それを見越して人間を排除した上で、戦力としての艦艇を切り札にここまで船団を維持したとしたらこのご令嬢相当の切れ者である。
そんな事を考えていたヤンの前に、帝国軍服を着た男性軍人が現れて敬礼する。
「ようこそ、いらっしゃいました。
私はベンドリング中佐。
エリザベート様に仕える者として、この船団の運営を任されています。
どうぞ同盟公用語でお話ください」
「自由惑星同盟第五艦隊所属のヤン・ウェンリー中佐です。
亡命とそれに伴う連絡担当として艦隊司令部より派遣されました。
よろしくお願いします」
叩き上げと言うよりも貴族軍人にある品の良さと、メイドに出迎えさせてからの出迎えなどの権威づけを考えると馬鹿ではないらしい。
後で知ったが、彼は男爵家の三男で帝国内で大貴族の陰謀に巻き込まれた所をカストロプ令嬢に拾われたらしい。
帝国は領地を持つ貴族の私兵がいる為に正規軍人は重宝される。
ある種の陪臣扱いで軍籍は残るが軍内昇進は絶望になるが、軍人の方も貴族の庇護が受けられるからこのようなケースは往々にしてあるらしい。
「今だから言えるのだが、貴国が作ったこの人形が無ければ我らはここへはたどり着けなかっただろうな」
ベンドリング中佐の同盟語を聞きつつ
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