亡命者は姫提督
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心するぐらい。
「第一種戦闘態勢発動!
敵勢力は、隊で対処できるレベルではないと判断!
反転し、集合ポイントに向かう!
各艦に伝令。
偵察隊司令部に緊急伝もだ」
今のヤンは巡航艦艦長だけでなく、分隊として駆逐艦100隻を預かり、3000人程度の人命を背負っている。
彼の間違いがそのまま人命の喪失に繋がるのだから、因果な商売だと海賊化したした帝国軍相手に喪失艦を出した時に吐いたトラウマはいまだ残っている。
「駆逐艦より続報です。
敵部隊発見。
規模は戦隊規模で超大型艦1、大型艦十ないし二十、中型艦百、小型艦多数。
更に増えています!」
「こりゃ、団体さんのお着きですなぁ」
副長のラオ少佐が軽口を叩くが、そうでもしないと圧倒的不利に怯えてしまうからに他ならない。
戦ったら、この分隊などあっという間に宇宙の塵に変わる。
「全艦戦闘態勢を維持しつつ後退。
副長。
偵察衛星を用いて、通信を試みてくれ」
「通信ですか?」
ヤンのおちついている顔にラオ少佐にも少し心の余裕が戻る。
偵察衛星から送られている画像を眺めながら、ヤンは頭をかきながら答えた。
「この状況で帝国正規軍が攻めてくるとは思えないし、海賊化しているならばもう偵察衛星は破壊されているよ。
で、これだけの規模を維持してこっちにやってくるという事は、大物貴族に間違いがない。
おそらくは亡命を申請してくるはすさ」
ヤンの予想はあたっていた。
ほどなく、向こうからも通信が届き、亡命を申請する旨が伝えられたのである。
亡命者の名前は、エリザベート・フォン・カストロプ。
反乱軍の巨頭カストロプ公爵のご令嬢で、帝国軍ただ二人の女性軍人の一人でもあった。
エリザベートの乗艦であるイズンは艦隊母艦であったが、動く宮殿という規模を通り越して動く領地と言ってもいいしろものだった。
艦隊母艦は、その大きさと整備補給能力の高さから必然的に都市機能が付属するが、権勢を誇った帝国貴族が贅を尽くした艦隊母艦ともなると、ダンスホールや談話室など貴族の家と見まごうばかりの施設があるだけでなく、彼女が食する食料生産プラントにワイン園まであるというのだから交渉の為に乗り込んだヤンは苦笑するしかない。
周囲に同盟艦船がまだ集まっていないのにも関わらず単身でヤンが乗り込んだのは、相手の信頼を得る為とこの状況でヤンを殺したり人質にしても意味がないという打算の産物だった。
なお、個人的趣味を言うのであるならば、ご令嬢の口から帝国内で何が起こったのか知りたいという知識欲がなかったといえば嘘になる。
もちろん、彼の上司が彼の歴史好きを見抜いて、「学術的な事を聞けるのではないか?」なんて餌に
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