アインクラッド編
黒と白の剣劇
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しているらしい。
正直、サチからその手の話をメールで聞いたアスカからしたら、もうギルドに入っているとか関係ないよな、と疑問を浮かべずにはいられない。
まあ、両者が満足しているのなら部外者たるアスカには何の文句もないのだが。
大ぶりの片手剣を背中に吊ったキリトが準備を終えたようで、アスカと対峙する。
「んじゃ、よろしく」
「楽しそうだな」
「そりゃ、まあ。閃光殿と闘える機会なんて中々ないからな」
戦わずに平和に会議が終わってくれることを望んでいたアスカからしたら中々に嬉しくない発言だ。
「俺は楽しくないけどな」
言いながらウインドウを操作。
デュエル申請をキリトに送る。
もちろん【初撃決着モード】。
キリトがイエスボタンを押したようで、アスカとキリト両者の中間地点でカウントダウンが始まる。
キリトが背中から大ぶりの直剣を引き抜き、だらり、と下げて構える。
アスカは細剣を正中線に構えた。
先ほどは楽しくない、なんて言っていたが、アスカもこのデュエルの相手がキリトであることは嬉しい。
良い機会だ、と思った。
40層ボス戦で気づいた、未だに微かに胸の内に秘められている、この気持ちを封じ込める。
もう一度、冷徹にボス攻略を進める自分に疑問を持つことがないように。
この気持ちを打ち消そう。
ボス攻略という大義に個人の感情が入る余地などない。
そんなこと許されない。
心の中で大きく、戦いの炎を燃やす。
しかし、頭は氷の如く冷静に働かせる。
場の喧噪が聞こえなくなり、集中力が極限まで高められ――――
ついに、カウントダウンが0になった。
――【DUEL】
先に動いたのはアスカ。
攻略組最速の敏捷値を最大限使ったダッシュ。
周りの空気を押しのけるように距離を詰めて、その走った速度を上乗せし、体を捻った力をも加えた突きをソードスキル無しで3発放つ。
対人戦においてソードスキルを使用するのはかなりのリスクがある。
なぜなら、発動後に必ず技後硬直時間があるからだ。
ハイレベルな剣士との戦いにおいて、その隙は致命的だ。
それは、目の前にいるキリトとて無論例外ではない。
左に2発。右に1発。
通常技ゆえにシステムアシストを得られないので、速度は遅いが、システムが自動で動かすソードスキルに比べれば、照準を正確に定められる。
左にはなった2発を避けても、最後の一撃は回避できない。
しかし、キリトは最初の2連撃を避けると、最後の一撃は剣を横に強振して弾いた。
アスカの使う細剣は対人戦においてかなり有利な武器だ。
なぜなら、モンスターに比べて、目で攻撃を見て捉えるプレイヤーにとって、剣先一点しか見えない突き技はパリィが異常に難しいのだ。
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