アインクラッド編
黒と白の剣劇
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「やっぱりタンクプレイヤーで固めてスイッチを繰り返して少しずつダメージを与えるべきだ」
「この層のボスは高火力型だ。不用意に責めるのは危険だろ。時間をかけて倒すべきだ」
と、〈血盟騎士団〉や〈聖龍連合〉などの大規模ギルドの団員から意見が飛ぶと、
「でも、攻撃力に偏っていて防御力、HP総量はたいしたことがないんだろ。時間をかけて相手に攻撃を行わせて、タンクプレイヤーに負担を掛けるより、短期決戦をした方が安全だ」
「それに、タンクプレイヤーが固まっていたら、俺たちが攻撃しにくくなる」
と、ソロプレイヤーや小規模ギルドのメンバーから意見が返される。
そんな平和な会議が行われていたのは、ほんの20分ほど前までだ。
今では、
「俺たちタンクプレイヤーがいないと、ボス戦が行えないんだぞ! 身勝手に動くソロプレイヤーは自重しろ!」
「そっちだけで経験値やアイテム全部かっさらう気なんだろ! そんな都合の良い案が通るかよ!」
なんて、お互いにかなり遠慮のないことを言い合っており、果てには、個人的なやっかみまで飛ぶ始末。
アスカは目の前の光景を冷静に半ば呆れながら観察しながらも、適宜自分の意見も主張する。
最初は自分が全員を制御しないと、と思っていたが、10分ほど前に諦めた。
隣では〈血盟騎士団〉団長ことヒースクリフが落ち着いた様子でその喧噪を見守っている。
ここまで騒がしい状況に眉1つ動かさない不動の姿はある意味尊敬に値する。
・・・アスカとしては、団長から仲裁に入って欲しいところだが。
広場反対側後方に控えている〈月夜の黒猫団〉の面々は初めて目にしたのであろうボス攻略会議中の暴言混じりの騒動を見て驚いているのか、全員が口をつぐんでいる。
そして、〈風林火山〉のリーダークラインや、エギル、それにソロプレイヤーキリトは反対側前方で果敢に言い争っている。
慣れているという点なら第1層から参加しているキリトはこのような光景、見飽きるほどだろうが、仮にも女性がいい年した男性プレイヤーと一緒に暴言を吐くのはどうなのだろうか、とアスカは思わなくもない。
「はあ・・・・・・」
時は第40層の超絶硬度の亀型フロアボスとの死闘を終えて、2ヶ月。
最前線は第48層――二度目のクォーターポイントである五十層間近に進んでいた。
今日は迷宮区のマッピングを終えてボス部屋を発見したので、ボス攻略会議を主街区の中央広場にて行っていたのだが、攻略組内で意見の食い違いが発生。
最初はお互いに落ち着いて自身の意見を口にしていたが、気がつけばこの有様だ。
実は意外とよくあることなので、そこまできにすることでもない。
が、アスカとしては、こんな無駄な騒ぎに時間を割くことが一番の無駄だと思う。
しかしながら全
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