第百三十七話 捕虜の人々
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達も同じで単純労働をさせられ、教育すら受けられない。少しでもノルマが悪いと監視係が電磁鞭を容赦なく振るうのだ。食事も粟、稗、?などまともな物では無く雑穀の雑煮だけ、育ち盛りの子供達は池や小川で取った蛙や小魚を貪るように食べていた。
そんな地獄の毎日が死ぬまで続くのかと、人生を悲観していたが、リッテンハイム侯爵が皇女暗殺未遂事件に関与したとのことで、全農奴の解放が命じられ我々も解放されたのだ。解放が命じられた後、従来からの帝国農奴と我々のような同盟から連れ攫われてきた者達と分けられ、連れてこられた。
当初は帝国では同盟人は犯罪者であるから別の地で再度農奴としてこき使われると言う噂も流れ悲観していたが、ここへ来て驚きに耐えなかった。この地、ローエングラム大公領はテレーゼ皇女殿下の私領であり、この地に同盟捕虜や拉致市民の収容所が建設されていたのである。
しかも悪名高い矯正区と全く違い、監視されているとはいえ我々に自由と生活の安定をもたらしてくれたのだ。食事も確りとした、パン、スープ、チーズに肉類など夢のような食事であり、子供達は大喜びで食べている。しかも自治委員会が有り、その委員長にはエル・ファシルの英雄で捕虜になっていた、アーサー・リンチ大将が就任していたのである。とは言っても私もここへ来て初めてエル・ファシルの事を知ったのだが。
ここへ来てから、皆の死んだような目は希望に満ちあふれた目に変わりつつある。なんと言っても皇帝陛下と皇女殿下が、非常にお優しい方であり帝国臣民の為にいろいろなさってくれている。そして我々にも人並みの生活を与えてくれたのだ。多くの捕虜や市民は敵は門閥貴族であり、皇帝陛下は敵ではないと思ってきている。私もその考えには賛成している。願わくば早く国に帰りたいが、今の皇帝陛下の元であれば、このまま帝国に居るのもよいかもしれないと思う私が居る。
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