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銀河英雄伝説〜ラインハルトに負けません
第百三十七話 捕虜の人々
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、反対しているのは門閥貴族の連中だとの事で、皇帝が手に入れたり、皇帝に協力的な貴族の星系では、全ての矯正区が廃止された上で捕虜は全てこの地へと移送されてきているが、門閥貴族の領土にある矯正区は未だ廃止されずに残り、多くの同胞が塗炭の苦しみを味わっているのだ。

早急に彼らの解放をしてもらわなければならないが、帝国側担当者の言うことには、『皇帝陛下におかれてもそのことを大変憂慮なさっている』のようなニアンスで話してくる。この状態で言えば、敵は皇帝ではなく門閥貴族と言うことにな訳だ、フリードリヒ4世であれば、あるいは和平も可能かもしれない。尤も門閥貴族を倒すことが最大の前提であるのだが、それが出来るのは何時になるのだろうか?

その前に我々が捕虜交換で帰国することもあり得るのだが、出来れば皆で帰国したいものだ。最近になって本国との間にフェザーン自治領経由で手紙や慰問袋などが届くようになり、兵達や拉致市民の間で安堵感が広まっていて、彼らは口々に『これも皇帝陛下の英断のおかげだ』と話している。

かく言う私の元にも妻と娘から手紙が届き、大きくなった娘の写真を見ながら、ホロリとしたものだ。多くの同胞が同じ思いをしている。帝国側も捕虜交換を行いたいらしいがタイミングの問題も有るそうで、具体的なものまで進んでいないようだ。

同盟軍捕虜や拉致市民の間には、銀河帝国は変わりつつある。このまま行くなら戦争をする必要もなくなるのではないかと考える者達も大勢出始めている。またこの事を本国に伝える者達も大勢いるが、果たして本国でその言葉が通じるのであろうか?

本国では憂国騎士団などの強硬派が焚書などを行い気勢をあげていると、新しき来た同胞達や家族からの手紙で知っている。奴らは気勢をあげるだけで決して戦場へ赴く事がないそうだ。所謂扇動をしているだけのようだ、エル・ファシルで逃げた俺が言うのも烏滸がましい事だが、市民を戦場へ送り出しながら自分たちは安全な場所に隠れている事は許せない事だ。

些かヒートアップしてしまったな。何はともあれ今日も農奴から解放された拉致市民がやってくる。まずは彼らに支給する生活物資を準備せねばならないだろう。忙しいがやりがいのある仕事だ。


帝国暦484年 4月10日

■ローエングラム大公領 捕虜収容所   さる拉致住民

私達家族が帝国の人狩りにあい農奴として攫われてから早10年、牛馬の様に働かされ死ぬ思いをしながら今日まで家族で生きてこられた。同じ時期に攫われた人達の中でも殺されたり病死した人も大勢いるのだから、私達は幸運だったとも言えよう、しかしまさかこんな日が来るとは思わなかった。

今まで私達はリッテンハイム侯爵の荘園で働かされてきた。朝日の出とともに起き、畑に行き夕方暗くなるまでこき使われてきた。子供
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