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ヴァレンタインから一週間
第21話 真名
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らば、今の長門有希がキョンと呼称される存在が、自らの名前を明かす事なく現代社会で暮らしている存在だ、……と言う事に気付いて居る人間です。
 もし、その人物が、自らの存在……正体に気付いた上で一般人を装っていた場合、その正体に気付いた有希の身に何が起きるか予想が付きませんから。

 但し、それについての警告はまた別問題。今回はキョンと言う正体不明の存在に対する危険度を有希に伝える為の物では有りません。
 今回の目的は……。

「それならば、もし、自らの創造物の反逆に等しい行動を知った時、オマエさんの創造主の思念体はどう言う反応を示す?
 そのまま、オマエさんの判断を支持すると思うか?
 それとも、有希の行為を自らの創造物の反逆と受け取って、有希を処分すると思うのか」

 本当に問い掛けたかった部分に、ようやく到達出来た質問を行う俺。
 但し、この答えに関しても有る程度の答えを予想した上での質問で有るのは間違いない。

 何故ならば、もし、有希が言うような方法が可能ならば、情報を集める事によって進化を極めた存在が気付かない訳は有りません。
 それでも、尚、今までの有希が経験して来た周回に於いては、少々稚拙な方法でキョンの信頼を得ようとして来た。ならば、何周にも渡って同じような稚拙と思われる行動を行って来た、俺や有希では想像も付かないような、思念体に取っての明確な理由が有るはずです。

 その理由の内容に因っては、有希の行動は間違いなく思念体に拒否され、自らの創造物の行為を反逆と捉えた上で、彼女に処分が下されるはずですから。
 彼女に対して、ロボット三原則のような物は適用される事はないと思いますからね。

 俺の問い掛けに、僅かに視線を外す事によって、彼女は自らの答えと為した。人工の光輝(ひかり)に包まれた明るい空間で有るにも関わらず、その名工の手に因る精緻な容貌に、僅かばかりの翳を纏わせて……。

 俺は、その様子を最後まで確認した後に、彼女に対して笑い掛ける。
 但し、これは勝ち誇った者の嘲りを含んだ微笑みではない。相手に安心感を与える為の笑み。信頼を得る為の微笑み。
 そして、

「それならば、答えは簡単。俺は、有希の身を護る為になら打てる策はすべて打つ。最初に言って有るはずやな。俺に取って今のオマエさんは、この世界と等価だと」

 ……と言った。
 但し、当然のように、その為に必要な策と言うのは水晶宮を頼る事と成ります。

 本当は、向こうの世界に彼女を召喚出来たら良いのですが、その場合は、向こうの世界に彼女の異世界同位体がいない事が前提条件と成りますから。

 何故ならば、同じ魂を持つ存在が、同じ世界に存在する事が出来るのか、と言う問題が有ります。
 俺が存在している世界では、未だに同じ
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