第67話
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ろで黒い日傘を差しながら小走りで走ってくる。
手には詩菜と同じバスケットが持たれていた。
腰まである長い黒髪に白いシャツにピンク色のカーディガン。
足首まである長い紫色のスカートを履いた、とても清楚なイメージを持った女性だ。
この二人は夫婦だろうと刀夜は思った。
なぜならこの二人が並ぶと、とても絵になるからだ。
「ああ、すまないな、秋葉。」
「もうすぐ開会式ですから、早く恭介さんの姿を見に行きましょう。」
その女性が言った名前に刀夜と詩菜は聞き覚えがあった。
二三〇万人いるこの学園都市に同じ名前がいてもおかしくはないが刀夜は気になったので聞いてみた。
「もしかして、麻生恭介君の親御さんですか。」
「ええ、そうですが。」
「ああ、そうですか。
私は上条刀夜と言います。
夏休みにウチの息子と一緒に海水浴に行ったのですが。」
「ああ、恭介から話は聞いていました。
その時はお世話になりました。
まさかこんな所で会うとは、世間は案外狭いですね。
そうだ、自己紹介がまだでしたね。
私は麻生竜也です。」
「妻の麻生秋葉です。
その節はお世話になりました。」
「上条刀夜です。
私達も恭介君には息子の当麻がお世話になっているみたいですのでお互い様ですよ。」
「妻の上条詩菜です。」
二人の親子が挨拶し終ると、刀夜の腕を持っている女性がふと呟いた。
「あれって美琴かな?」
その言葉に四人はその女性の視線を辿ると、その先には体操服を着た学生達がいた。
その中に見知った我が子の黒いツンツン頭が見える。
その隣に白いツンツン頭の姿も見えた。
そのすぐ側にも肩まである茶色い髪の少女もいる。
女性は少女を指さして言った。
「あっ、あれがウチの美琴です。
良かった、良かった、大学が忙しくてろくに集合場所とか話し合っていなかったから。」
「どうやら私達の息子も傍にいるみたいですね。」
「そうですね。」
向こう側にいる子供達は親の姿に気づいていないようだ。
しかし、相当の大声で話し合っているのか、言葉だけ鮮明に届いてくる。
「ねえねえ、結局アンタ達って赤組と白組のどっちなの?」
「あん?赤だけど。
御坂も赤なのか?」
「そ、そうよ。」
「おおっ、そっかー赤組か。
ならお互い頑張らないとなー。」
「じゃあ、あんたもそうなの?」
「そうだな、当麻と同じクラスだから同じ色だな。」
「じゃあ、あ、赤組のメンバーで合同の競技とかあったら」
「なんつってな!実は白組でしたーっ!!」
「ッ!?」
「見ろこの純白のハチマキを!
貴様ら怨敵を一人残らず葬ってやるという覚悟の証ですよ!!
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