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トーゴの異世界無双
第百十六話 な〜んか、寒気がするんだけどなぁ
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「どうって…………できれば連れて帰りたいなぁって思ったりなんかして……」
「なるほど」
「ギレン兄様?」
「……よし、そんなに彼を気に入ったのなら奪っちゃえばいい」
「ええっ!?」


 突然の略奪宣言にさすがのステリアも驚きを隠せない。


「ああ、でももちろん合法的にだよ。彼は一応グレイハーツの国民みたいだからね」
「で、でもトーゴはそのつもりはないって言ってたし……」
「まあ、それでもやり方はいろいろあるさ。どうだい? 本当に彼が欲しいなら、力を貸してあげるよ、どうする?」


 彼の言葉に、ステリアはしばらく考え込んだ。
 そして顔を上げギレンを見つめる。


「欲しいわ!」


 するとギレンは優しく微笑む。


「うん、それでこそスティだ。お前には欲しいものを我慢なんかしてほしくはない」
「兄様……」
「それじゃ、手に入れられるように動いてみよう」
「ホント?」
「ああ、だけどもし、彼がお前の望むような男じゃなかったその時は……」
「ん? 何?」
「はは、何でも無いよ」


 ステリアはギレンの呟きに聞こえていなかった。


(そう、彼も男だ。もし無理やりにでもスティを手籠(てご)めにしようとしたら…………引き千切(ちぎ)るよトーゴくん?)


 こうして、超前向きな妹と、超シスコンの兄のトーゴ入手計画が立てられた。





 一人の男が目を覚ました。
 男は自分の体が上手く動かせないことを知る。
 目だけを動かして周囲を確認する。
 殺風景な部屋だ。
 自分が知らない部屋だった。
 そして、どうして自分はここにいるのか、働きが鈍い思考を必死に回転させる。


「ようやく起きましたねグレイク」


 その声の主を見た瞬間、ようやく自分が覚醒したことを知る。


(そうだ、俺はグレイク。ここに寝ているということは……)


 彼はギルドパーティ『黄金の鴉』のグレイクその人だった。
 二次予選でカイバ・ヤーヴァスのペアと闘った。


「君は負けたのですよ」


 声の主をもう一度見つめる。


「ガシューさん……」


 そこにいたのは同じく『黄金の鴉』のリーダーであるガシューだ。


「負けた……」


 自分と闘っていたカイバのことを思い出す。
 何もかも自分が上手(うわて)だったはず。
 人質を取り、抵抗できなくさせて、ヤーヴァスを倒す算段をしていた。
 だが突然出てきた黒髪のせいで計画が潰れ、カイバが反抗してきた。
 だが実力的に考えれば負けるはずも無かった。
 それなのに自分は今こうしている。


「何が……俺はどうして負けたんだ?」


 そんな問いに、
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