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万華鏡
第二十八話 浴衣その五

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「向こうなんかがつがつしてるさかい」
「断りきれん場合もあるんよ」
「ここでも言えへんことすることも多いで」
「あまりにも恥ずかしいけえ」
「ええと、何ていいますか」
「先輩達凄過ぎます」
 ここまで話を聞いた五人の言葉だ。
「経験豊富っていいますか」
「そんな話本当にあるんですね」
「結婚したら皆普通になるんちゃう?」
「相手おったら誰でもけえ」
 これが先輩達の返答だ。
「具体的に何をするかは流石に言えへんけど」
「やらしいこと一杯あるけえ」
「あの、妊娠はないですよね」
 景子は恐る恐るこのことを尋ねた。
「そういうのは」
「それは注意してるさかい」
「流石にまずいけえ」
 高校生でそれは、というのだ。とはいっても高校生でも油断すればそうなってしまうことではあるのだが。
「ちゃんとしてるで私等も」
「それは結婚してからけえ」
「ですよね」
 景子もそう聞いてほっとした、顔に出た。
「幾ら何でも」
「本当にですよ」
 琴乃も言う。
「そういうことは」
「ってあんた達純情やね」
「保守的じゃけえ」
「あの、怖くないですか?」
 琴乃は心から懸念する顔で問い返した。
「そういうことって」
「ああ、それな」
「そのことけえ」
「はい、怖いですよね」
 琴乃だけでなく五人もこう言う。
「そういうのって」
「かなり」
「まあそれはそやな」
「わし等も怖かったのは確かじゃけえな」
「私キスする時がくがくしてたわ」
「わしあの時お互いにもう真っ青だったけえ」
 そうした中で経験を経たというのだ。
「ああいうのは本当に勇気いるで」
「一歩を中々踏み出せんじゃけえな」
「ですよね」
 美優が心から言う。
「あたし達ですから」
「というかそれ誰もやから」
「誰も怖いけえ」
「それで止まってたらあかんで」
「女なら一歩前に踏み出しんしゃい」
 二人は強い声で五人に言う。
「女は度胸やで」
「さもないと結婚したら言いなりじゃけえ」
「彼氏をリードしてこその女やで」
「女が全ての土台で家じゃけえな」
 宇野先輩が言うには女は全てだった。
「あんた達もやねんで」
「早く彼氏作って経験しんしゃい」
「ううん、そう言われても本当に」
「今は」
 五人は部活や学業のこと意外にも怯むこともその理由にしてそのうえでそうした経験を避けようとしていた。
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