第九十五話 戦禍は広がる
[1/5]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
ポラン地方で起こったポラン系スラヴ人の反乱を鎮圧する為に、選帝候の一人、ザクソン大公に指揮された鎮圧軍10万の大軍は、ヒポグリフを駆るポラン騎兵のゲリラ戦によって消耗しながら、ポラン地方の奥へ奥へと誘いこまれてしまった。
このゲリラ戦法は、トリステインの参謀本部がスラヴ人の軍事教練の為極秘に派遣したジェミニ兄弟によってもたらされた。
さらにジェミニ兄弟ポラン軍の軍師としてポラン貴族軍に留まり、大軍による会戦にこだわるザクソン大公を翻弄し続けた。
これはかなりの大問題なのだが、諜報部の防諜部隊によって守られたお陰でばれる事は無く、後に生きた戦訓も持って帰国しトリステイン軍のソフト面での増強に大いに役立つ事になった。
さて、ポラン騎兵によって翻弄されたザクソン大公と鎮圧軍10万は、無駄に物資と時間を消耗し、ついに食糧不足に陥ってしまった。
ザクソン大公はヴィンドボナのアルブレヒト宛に、緊急の補給要請の手紙を書きヴィンドボナに送ったものの、ポラン地方とヴィンドボナを往復するには必ずボヘニア地方を横断しなければならず、ヤン・ヂシュカらチェック人によって、補給を催促する早馬も討ち取られ、さらにヴィンドボナからザクソン大公宛の使者も討ち取られ、ザクソン大公には何の情報も得られない状態となり完全に孤立してしまった。
ポラン地方に入っておよそ半年。
ザクソン大公は何度も補給要請の手紙をヴィンドボナに向かって送り続けたが、その全てはボヘニア地方で消息を絶ち、鎮圧軍は攻撃か撤退かの二択を迫られるほどに追い詰められた。
鎮圧軍の諸将は撤退の方向に傾いていたが、総大将であるザクソン大公は撤退を決して許さず、攻撃にこだわり続けた。
とある作戦会議にて数人の武将が撤退を進言したが、ザクソン大公は、
『決戦に持ち込めば、あのような雑兵ども物の数ではないわ!』
と、聞く耳を持たない。
仕方なく将軍達はザクソン大公に従い続けたが、兵士達にとってはたまった物ではない。延々と敵の姿を求めて行軍に次ぐ行軍に日に日に少なくなる食事。
一人また一人と兵士達は軍から脱走し、遂に鎮圧軍は戦わずして、5万人まで兵力を減らし、いつ壊走してもおかしくない状態にまで陥った。
遠巻きに鎮圧軍の様子を観察していたポラン軍は、止めを刺すために決戦を決意し、かくしてタンネンベルヒと呼ばれる土地にて、ゲルマニア軍5万とポラン軍2万とが決戦と行った。
ザクソン大公にとっては念願の会戦だったが、鎮圧軍の士気は最悪で、戦闘開始から僅か三時間で鎮圧軍は全面壊走を始め、ザクソン大公も這う這うの体でヴィンドボナに逃げ帰った。
全面壊走した鎮圧軍に対し、ポラン騎兵の追撃は執拗を極め、ザクソン大公と共に逃げ帰ったのは僅か一万しか
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ