第九十五話 戦禍は広がる
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大公はそう言うが、ヴィルヘルムにその様な知恵が回るとは思えん……」
「ですが、余りにもタイミングが良すぎます。ブランデルブルク辺境伯の頭から出た物ではなく、我々の知らない子飼いの知恵者が後ろに居たのでしょう」
「ううむ、ゲルマニア騎士団のフリードリヒは中々の傑物と聞く。奴が手引きしなのならそう考えるのは妥当か……」
アルブレヒトはそう言いながらも納得がいかない様子だった。
以前、ゲルマニア騎士団の使者とヴィルヘルム追放の謀略を練っただけに、フリードリヒが帝政ゲルマニアの内乱を誘発させるまでヴィルヘルムに肩入れするとは思えなかったのだ。
ともかく、次々と起こった反乱を迅速に鎮圧しなければならない。
アルブレヒトは新たな命令をザクソン大公に下した。
「ザクソン大公には、また鎮圧軍の総大将を任せたいのだが……」
アルブレヒトは再びザクソン大公を鎮圧軍の総大将に抜擢しようとした。だが、ザクソン大公は首を縦に振らなかった。
「光栄に思いますが辞退させて頂きます。ポラン地方の反乱鎮圧に失敗して、命からがら戻ってきておいて、その日のうちに再び将を任される等、武門の出として看過できません。敗軍の将として、暫く領地にて謹慎しております」
「ううむ、どうしても駄目か?」
「残念ですが」
ザクソン大公の意思は固く、仕方なくアルブレヒトはザクソン大公の願いを聞き入れる事にした。
「……分かった。三ヶ月間の暇を与える。その間、英気を養っておいてくれ」
「我が侭を聞いていただき、ありがとうございます」
こうして一時の間ザクソン大公はヴィンドボナを去り、代わりに『ハルデンベルグ侯爵』という、角のついた鉄兜を被り、カイゼル髭を揺らした男を総大将にして、ブランデルブルク反乱軍の鎮圧にに当てた。
だが相手はゲルマニア最強の精鋭ゲルマニア騎士団。
決戦を挑むも騎士団になすすべも無く撃退され鎮圧は失敗。ハルデンベルグ侯爵も戦死してしまった。
この敗戦でゲルマニア側は新たな軍勢を編成する為に更なる時間を浪費する事になり、早期の鎮圧に事実上失敗した。
初戦のゲルマニアの敗戦の情報は各地に潜む反政府組織を蜂起させ、本格的な内乱の勃発は大寒波の傷が癒えないゲルマニア国民を地獄の釜へと放り込んだ。
★
……時は経ち。
マクシミリアンが20歳の誕生日を迎えた頃。
前年にゲルマニアの新帝都ヴィンドボナでのアルブレヒト3世戴冠式に出席したマクシミリアンとカトレアだったが、カトレアの実家のラ・ヴァリエール家と因縁のあるツェルプストー家のキュルケがマクシミリアンに言い寄り、とうのマクシミリアンの満更でもない反応をした事で、カトレアの嫉妬が爆発し文字通り
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