第五話 ※
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い。いや、あながちそうとも言いきれない部分もあるが、この一言に尽きるのもまた事実だ。
この世界の女性で、種族で共通して言えるのは『より強い者に惹かれる』という点だ。本能に忠実というか、自分を守ってくれる強い雄に惹かれるらしい。確たる思念の元に異性の好みを格付けしているわけではないが、根底は変わらないだろう。
もちろん種族にも差はある。魔獣は野生の本能が赴くまま、より強い異性に興味を示す。逆に人間はそうした本能を理性で御し、建前をこじつけて異性にアピールする。
魔族はどちらかというと人間側の思考だが、幾分本能に忠実だ。魔族の女が口にする良い男の条件は『強く、それでいて賢いこと。容姿は二の次』とのこと。やはり前提に来るのは『強い男』。ただ、腕っぷしだけでなく頭の方も使えないと駄目だと言う。脳筋はお断りらしい。容姿は二の次と言いながらイケメンには目がないのはご愛嬌といったところか。
幸い、俺はそれらの条件を満たしている。現世での職業柄、身体は資本を地で行っていたため武には自信があり、こちらの世界に来てからというもの生き抜くために一層厳しい鍛練を課してきた。
異世界人というのが関係しているかどうかは分からないが、魔術という摩訶不思議な技術を体得する才も機会も与えられた。
――前置きが長くなったな。まあ、何が言いたいかというとだ。
(大学に通っていたから頭もよく、それでいて俺ちょー強い。結果、数多の女が俺にメロメロ、と。アリアードにいた頃に愛人が三十を越えた時は流石の俺もたまげたな。これ、何のエロゲー?)
即リア充判決を貰いそうな俺だがこればかりは仕方がない。だって、これがこの世界の心理だもの!
「……なに得意気な顔をしているのですか。また下らないことを考えてるのではないでしょうね」
隣から聞こえる呆れた声と冷ややかな視線にハッと正気に戻る。いかん、トリップしていた。自重しないと……。
† † †
湯船から上がり身体を洗おうとすると、シオンが背中を洗ってくれるとのこと。
シオンに洗って貰うのも久しぶりのことだし、ここは好意に甘えることに。
「痒いところはありませんか?」
「ん〜? とくにないよー」
俺謹製のボディーソープを大量に使って自身の胸に塗りたくり、お湯を足して泡まみれにしたシオンは身体をタオルに見立て、抱きつくようにして背中を洗う。現世で言うところの泡踊りだ。
シオンに洗ってもらうというシチュエーションにご満悦の俺は上機嫌で目を細めた。やはり美人さんに身体で背中を洗ってもらえるのは何度味わっても良いものだな。
豊
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