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大魔王からは逃げられない
第五話 ※
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を出すため壁には彫刻を刻み、天井全体が淡い光に包まれて幻想的な空間を作り上げている。


 満足のいく仕上がりに何度も首肯した俺は「どうだ!」と言わんばかりに得意気に胸を張った。


「ふむ……なかなかの趣向ですね。とても満足です」


「でしょでしょ? もっと褒めてもいいよ〜」


 ドヤッと腰に手を当てて大きく仰け反る俺に呆れた目を向けてくる。


「はいはい、調子にのらない。では、早速頂きましょう」


「あれ?」


 脱衣所でメイド服を脱いだメイドさんは手早く俺の服も脱がせる。なぜ俺も入ることに? いや、風呂好きだし混浴は大歓迎ですけれども。


 薄いタオル一枚を身体に巻いた格好となったシオンは同じくタオルを腰に巻いた俺の手を引き、浴室へと足を踏み入れる。


 傍から見ても分かりやすい程に機嫌上々のシオン。そんなに楽しみですか。


 やはり、女性にとって身嗜みに気を遣うのは不可欠なんだなと改めて感じた。


 お湯が張るまで通常だと三十分少々は時間が掛かるため、今回は魔術で代用した。水系統魔術でお湯を張り、サッと掛け湯を済ませてから早速湯船に浸かる。


「ふぃ〜……いい湯だなぁ」


 肩まで浸かると自然と口から息が洩れる。風呂が心の洗濯とはよく言ったものだ。なぜ日本人は風呂に入ると「あ゛あ゛〜」だの「うぃ〜」だの声が洩れるのだろうか?


「本当にいい湯ですね……」


 体に巻いていたタオルを外して俺と同じく頭に乗せたシオンが隣に腰を落とし、気持ち良さそうに目を細めた。


 俺以外に肌を見せることは決してないシオンはその陶器のような滑らかな肌を惜しみ無く晒している。美乳という言葉が相応しい程よい大きさの乳房が水面によって光が屈折し、ゆらゆらと揺らいで見えた。


 浴槽は円の形をしており、直径は大体二十メートル。泳ぎ回れる程の広さはある。


(ちょっと張り切り過ぎたかな?)


 まあでも、大は小を兼ねるともいうし広すぎて困ることはないか、と気を改めた。


「ご主人様とこうして湯殿をともに出来るのも久しぶりですね」


「あー、確かに。向こうだと誰かしら乱入してきたからなぁ。二人っきりでというのは久しぶりかも」


 自惚れではないが、俺はモテる。


 別にずば抜けて容姿が優れているわけではない。顔も整っている方だとは思うが普通よりちょい上程度のレベルだ。


 そんな俺に数多くの女性が言い寄ってくる。中には魔王という俺の地位や人脈、財産を狙って近寄ってくる奴もいるが、多くの女性は純粋な好意を寄せてくれるのだ。


 何故かと問われると、それはもう「異世界だから」としか言いようがな
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