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徒手格闘
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であった。何回も試合していた中でこんなにあたることはなかった。しかし、この家の流派なら体のばねなどを全て使うためこういうものがあるということも納得して純を見る。

(もっと集中しろ、集中すれば何とかなるはずだ)

 心でそう思って集中する。すると、純の動きで変わり始めているところを発見した。今までの勢いが失われているかのように肩で息をしている。よく考えれば当たり前だ。純は結構な間、鍛錬をサボリ気味だったため、体力がなくなってきているとこだ。そして脇腹を守るように抑えている。急な運動によるために横腹が痛くなってきたのだろう。

 こっちもラッキーが続いては持たないため速めに切り上げるために出し切ることにする。優は純の間合いまで一息で着くと素早く拳を突き出した。しかし、それは簡単に避けられてしまう。しかしこの拳を当てるためではなく掴むために突き出したもので避けることを想定している。素早く胴着を掴むと肘を突く様に放つ。純はそれをまともに食らうと空気を大量に吐き出した。

「ガッ!……」

 そしてその状態から動かなくなるとずるずると崩れ去り床に倒れた。

「あー、何とか勝てたけど頭が痛てー」

 優も純に食らったものが相当だったようでその場に寝転がる。その時ちょうど奈美が扉を開けて道場に入ってきた。

「ちょっとみんな家のほうに居ないから探しに来たんだけどなにやってんの!?」

 倒れている二人を見て驚いた美奈はそう叫んだ。優はなんて説明しようか考えていると変わりにお袋が言った。

「心配しなくていいわよ。ちょっと純君が優をあんまり、好んでなかったみたいだから今日朝に喧嘩売ったから優が買って今の現状になってるのよ」

「ちょ、お義母さん!?それ大丈夫なの!?ていうよりどっちが勝ったの!?」

「気になるのはそこかね、奈美?まあ奈美が思うにどっちだと思う?」

「ええと、二人とも倒れているけど優さんがおきているから優さん?」

「まあ正解だな」

 お義祖父さんがそう言って手を叩く。奈美は正解したことに喜んだがすぐに今の状況を思い出したのか、慌て始める。

「そんなことより、二人とも大丈夫なの!?」

「俺は大丈夫だけど純が……結構マジで入れたからどうかわかんねんだよな」

 まあ、武術を習っていたから大丈夫だとは思ってる。優はようやく体の調子が戻ってきたため立ち上がる。そして純に近づいてから腕をとって持ち上げる。

「とりあえずこんなとこに寝かせてるのもなんだし部屋に持っていく。どうせこの後、ここ使うんだし」

「そりゃ助かる。じゃあ、純を部屋に持っていくのは頼むよ」

 優は純を肩を貸す感じで持ち上げて純の足を引きづりながら部屋へと向かった。


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