暁 〜小説投稿サイト〜
レンズ越しのセイレーン
Mission
Mission9 アリアドネ
(1) トリグラフ港@
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 ジュードに向けて微苦笑する。――ジュードが分史で彼の父親に会った時はつい助け舟を出してしまったし、セルシウス探しも手伝った。
 不器用なくせに放っておけない気にさせる彼を、弟のように感じ始めていた。
 この想いさえ、本来は存在しないもの。

 ミラはルドガーを見据えた。

(ずっとただ一人の、どこにでもいる人間になりたかった。ううん、人間だと他人に思ってほしかった。でも、人からすれば、私はいつまでも『元精霊の主』で……ううん。立場に囚われていたのは私のほう。私を縛るモノはずっと私自身の中にあった。だから、この『私がいない世界』でようやく願いが叶った。ルドガーが私の世界を壊してくれたから。天地と命と引き換えに私を私から解き放ってくれた彼だから)

 現実と戦うのはあまりに辛いと知ってしまったから、これ以上傷だらけになる前に、いっそありふれた悲劇みたいに綺麗に逃げ出してしまおう。

 ――ルドガー、私を……



「もういいかな、口挟んでも」

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