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【IS】何もかも間違ってるかもしれないインフィニット・ストラトス
役者は踊る
第九幕 「桃の花 滴と共に 空を舞い」
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前回のあらすじ:一夏の初戦敗北は大宇宙の法則


一夏が負けた。恐らく彼の今の全力だったであろうその戦いは、結局セシリアに一撃を当てる事さえ叶わなかった。だが、だからと言って怖気づいたりはしない。あいつはベストを尽くした。
ならば僕もそうするまでだ。
装着したISの感触を確かめるように体を動かす。一夏と違って一次移行はしっかり済ませることが出来たそのISは、ある種“異様”な雰囲気を醸し出す。

「仇討ちってわけじゃないけど・・・後は僕に任せて、一夏」

そういえば、結局この1週間兄は僕に何も口出ししなかった。
日常生活のあれこれは普通だったが、勉強には時々ぽつりと間違いを指摘する程度にとどめていた。戸惑いもあったが、多分自分の意思を尊重し気を使ってくれたんだろう。
兄も少しは成長したという事か・・・いや、案外そろそろ我慢の限界かもね、と笑みが漏れる。

(試合が終わったら久々に一緒にゲームでもするかな)

最近やってなかったから、腕が鈍ってないと良いけど。
そしてすぐに頭を切り替えて顔を引き締める。実質的に初の実戦。
親友の奮闘ぶりに恥じない戦いをせねばなるまい。丁度モニタールームから確認の通信が入る。
通信相手はなぜか箒だった。慣れないことをしている所為か少しまごついているようだ。

『・・・で、ユウ。準備はいいか?私は出来てる』
「こっちも問題ないよ。さっきフィッティングも終了した」
『・・・厳しい戦いになる。勝ち目は無くもないがな』

厳しい口調。先ほどの戦いを見れば勝ち目が限りなく薄い事くらいは素人の僕でも分かる。
だが、僕には確信めいたある思いがあった。
彼女からは兄さんほどのプレッシャーを感じない。
兄さんを追い続けているこの僕が、そんな相手にどうして怖気づく必要があるだろうか。
恐怖も緊張も感じないのは単なる強がりではなく、今までの道のりが僕に与えた心の強さだ。
この諦めの悪さと神経の図太さだけは、世界最強だと信じている。
だから僕はこう返した。

『だったら蜘蛛の糸を手繰るまでさ。残間結章、“風花(かざばな)”出ます!』



 = = =



(・・・専用機であることは分かっていましたが、これは)

セシリアはユウの駆る黒い第2世代機――実質的には2,5世代だが――“風花”を見る。
元々日本の第2世代機“打鉄(うちがね)”を基に改造したため、第3世代兵器を持ちながらも基礎性能自体は2世代機とそう変わらない。漆黒を基調とした装甲にあちこちに走る桃色のラインが独特の色彩を放っている。
その機体は部分的に“打鉄”の意匠を残しながらも、セシリア含む会場の誰もが感じるほど“異様”なISだった。

まず、脚部が妙に細い。
ISにとって脚部はブースター・バラン
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