暁 〜小説投稿サイト〜
【IS】何もかも間違ってるかもしれないインフィニット・ストラトス
役者は踊る
第九幕 「桃の花 滴と共に 空を舞い」
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ーバーナーはジェットエンジンの排気をもう一度燃料を吹きつけて燃焼させて推力を得る。ジェットエンジンの排気には多くの酸素が残っており、それに燃料を噴射することでさらに燃焼、結果として更なる出力を得る。
風花に搭載されているそれの仕組みはこうだ。シールドエネルギーを推力に変換した場合、放出するエネルギーは推進力に変わるものと変換しきれず空気中に拡散して消えるものの2種類がある。その後者のエネルギーをバーナー内に圧縮し、それをさらに推力に変換することで爆発的な加速力を得る。
しかしこれは良く見ると原理が瞬時加速と大体同じ。違うことは、・・・エネルギーを送ったが最後、供給ある限り“常時瞬時加速状態”になるということだけ。バーナーから名前をとって『噴射加速』とでも名付けるべきか。
つまるところ、この機体にスラスターがなかったのは「直線なら相手は絶対に逃げきれないし、逃げればどんな機体も追い付けないから必要なかった」のである。バーニアは申し訳程度のバランス調整及びブレーキ役。パイロットにかかる負担と必要な集中力は通常機の比ではなく、移動中は方向転換不可のイノシシ仕様。代わりに燃費は通常の瞬時加速よりいいが正直何の気休めにもならない。
・・・念のため言っておくとユウはちゃんとチカさんのレクチャーを聞いていた。
それでもこんな事態になったのは、チカさんがこの機体に直接関わっていなかったために性能を完全に把握しておらず、バーナーを吹かしたらどうなるかを簡単にしか説明しなかったせい。
そして両名ともこれほどふざけたISを未だかつてお目にかかったことがないために、ここまでひどいとは思いも寄らなかったせいである。敢えてこの状況に責任がある人間がいるとしたら、それはこの機体を寄越した最上重工の人間に他ならないだろう。
「まさか、
特攻仕様
(
カミカゼアタック
)
・・・!?ならば一刻も早く落とさねばこちらがやられるという訳ですね!?」
「いやそんなつもりは・・・ああもうっ!!こうなったら自棄っぱちだぁぁ―――!!!」
既にセシリアさんはBT兵器を起動させ、こちらに狙いをつけ始めている。
最初は相手の様子を観つつ隙をついて一撃を叩き込む気だったユウだが、先ほどの加速のせいで手札の一枚――猛烈な突撃力を晒してしまった。これで相手に警戒され一撃を加えるのが難しくなることは必至。こうなってしまっては一夏と同じ短期決戦に挑むしかない。その考えに至ってからの行動は早かった。
――武装チェックを開始。
――盾部内蔵型荷電粒子砲“鳴動”アクティブ。
――後付型炸薬式鋼貫手“義聖”アクティブ。
――25m特殊鋼アンカーワイヤー“鎌首”アクティブ。
どれもこれも癖の強い物ばかりだが、今最も自分に必要なのは。
――第3世代型兵装“
投桃報李
(
とうとうほうり
)
”
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