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銀河英雄伝説〜美しい夢〜
第三十五話 反撃
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シュバイク公爵邸   フレーゲル内務尚書



黒真珠の間で改革の発表が終わった後、私とルンプ司法尚書はブラウンシュバイク公爵邸に寄って欲しいと公から頼まれた。他の貴族達が見ている前でだ。協力に感謝している、ついては今後の事もあるので屋敷に寄って欲しいと……。断ることは出来ない、ルンプも私も有難く招待を受けた。

ブラウンシュバイク公爵邸の応接室には私達の他にも人が居た。リッテンハイム侯、リヒテンラーデ侯、ゲルラッハ子爵、エーレンベルク元帥、シュタインホフ元帥、そしてブラウンシュバイク大公、公の親子。どうやら私達は帝国のもう一つの政府に入る事を許されたらしい。

「それにしても随分と脅したな、皆顔を蒼白にさせていたが」
リッテンハイム侯がコーヒーを口に運びながら言うと皆が頷いた。
「ブラウンシュバイク公は中々過激でな。リッテンハイム侯には覚えが有るのではないかな」
「それを言うな、リヒテンラーデ侯」
リッテンハイム侯が顔を顰めると彼方此方でさざ波の様に苦笑が湧いた。

「連中、どう出るかな」
大公が皆に問いかけた、視線がブラウンシュバイク公に集中する。やはりブラウンシュバイク公の存在感は当初私が思っていたより大きいようだ。ルンプに視線を向けると彼も興味深げに座を見守っている。

「率先して反乱を起こす馬鹿はいないでしょう」
公の言葉に皆が失笑した。“酷い事を言う奴だな”と大公も笑う。
「しかし唆されれば話は別です。警告はしましたが何処まで理解したか……」
失笑が止んだ、皆苦い表情をしている。

「フェザーンか」
エーレンベルク元帥が低く問いかけると公が頷いた。
「フェザーンは不満を持つ貴族達の連携を図ろうとすると思います。連携する事で政府に圧力をかけ政策を変更させる。具体的には国務尚書、帝国軍三長官の交代を目指す、そんな説得をするでしょうね。そしていざとなれば何らかの工作をして暴発させる……」

「暗殺という事も有り得るの。成功すれば良し、失敗すればそれを契機に反乱を起こさせる」
「当然だがフェザーンは反乱軍も利用するだろう、……厄介だな」
リヒテンラーデ侯の言葉にシュタインホフ元帥が続く。応接室に沈黙が落ちた、皆が沈痛な表情をしている。

「フレーゲル内務尚書に動いてもらわねばなるまい。フェザーンの動き、貴族達の動きを調べて貰う必要があるだろう」
リヒテンラーデ侯の言葉に皆の視線が私に向けられた。拙い事になった、どうやら腹を括らねばならんか。果たして受け入れられるか、それとも……。

「実は私は内務尚書を辞任しようと思うのですが」
皆が私を見た、ルンプは驚いた表情を、他は皆厳しい表情をしている。ブラウンシュバイク大公が低い声で問い掛けてきた。
「改革に不満かな、フレーゲル内務尚書」

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