ALO編
episode6 会議の席、勇者の底力
[2/3]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
速い。
まあ、それはいい。今は、関係無い話だ。
寧ろ問題は、今俺が移動している理由の方だ。
一言で言おう。
傭兵代わりにとアリシャに呼ばれた、シルフ・ケットシー同盟の会談へと行くためだった。
◆
猫妖精領首都、フリーリア。その賑やかな街に着いた俺達は、結構派手に迎えられた。それは別に俺達が特別有名な人気者だから、ではない。
「待ってたヨ、シドく〜ん!」
最重要人物である領主、アリシャ・ルーが俺達を出迎えやがったからだ。所謂VIPである彼女には、側近(本人が言うには腐れ縁らしい)である数人が護衛代わりについており、また人気者の宿命として周囲には一目見ようと集まった暇人共が人だかりを作っている。
全く。
(今日が極秘の会談の日だ、って分かってんのかコイツ……)
相変わらず危機感に欠けた女である。
領主であるという自覚をもうちょっと持ってほしいものだ。
「イヤ〜、来てくれないかモ、と思ったヨ!」
「……まさか。今日は大事な……「商談の日」だからな。ちゃんと来るさ」
別に来たくは無かったがな……という言葉は飲み込む。
敬語の苦手な俺にだって、そのくらいの分別は一応はある。
喋りながら、ウィンドウを操作する。パーティー用の一時預かり用ストレージにアイテム……行商で扱うような、俺達は装備出来ないがなかなかに高価な武器防具達、珍しい効果をもつマジックアイテムの数々を、二人に渡しておく。これから行く先を考えると、あまり高価なものは持っていきたくない。そうして開いた自身のストレージに、「もしもの時の備え」を入れておく。
「それじゃあ、一旦領主館に行こうカ! いろいろと準備しないとネ!」
「……あいよ。んじゃあ、」
「ん、了解です! 頑張ってきてくださいね!」
『アイテム、確かに預かりました。私は今日は宿にずっと居ますので、いつでも連絡ください』
「ああ、頼むな」
連絡するような事態にはならんだろうとは思うし、ならんに越したことは無いんだがな。
画面内で一時預かりウィンドウからアイテムが消滅、恐らくブロッサムが引きだしたのだろうことを確認して、頷く。軽装戦士な上に拳闘士な俺は、装備品が極端に少ない。魔法強化された革のコートに、対魔効果の高いネックレス。後は体術スキルにボーナスのある紅色の革グローブとブーツ。いずれも安物では無いが、俺の扱う商品に比べればいくらかランクは落ちる、か。
(……ま、金属鎧は重すぎて装備出来ねえし)
今回、ケットシーとシルフの会談に傭兵として参加はさせて貰うものの、はっきり言って単なる会談である以上、正直真剣に武装していくことにどこまで意味があるのかははなはだ疑問で
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ