第36話 誰が為に戦う(2)
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は知りたいだけなのだ。どうして、フェイトがジュエルシードを集めるのか、その回収で無茶とも言える行動をとるのか。そして、今もそんなに悲しそうな目をするのか……
「そう…」
ぎり、と、フェイトの杖を握る手に力が入る。
一体なんだというのだ、目の前の少女は。どうして私の事を知りたいと言い続けるのか。どうしてそこまで対峙する相手に気遣えるのか。
そしてどうして、私の事を「知ってる」なんて言うのだろうか。
「あなたと、一緒にしないで――!」
抑えようのない激情と共に、フェイトはなのはへと襲いかかった。
「うっは〜、何よあれ。下手な映画より迫力あるじゃない」
なのはとフェイトが上空で激しくぶつかり合っている一方で、置き去りにされたリリーは下からそれを眺めていた。見上げる空には二筋の流星。桜色と金色のそれは時に交わり、離れ、小さな弾を生みだしてぶつけあう。
封時結界を舞台に縦横に乱舞するそれを間近で見せられたら、あんな呆けたような感想しかでないというものだ。
「ていうかなのちゃん。任せてって言ったの、そういう事だったのね。いつの間にこんな技量を。…いえ、戦いの中で、成長してる、っていうのが正しいのかしら」
形のよいあごに手をあててリリーは考える。自分がなのはの面倒を見たのは、まだ空中での体の動かし方や、全方向を認識する方法など、基本的な事ばかり。確かにそこでもずば抜けた速度で技術をモノにしているのは知っていたが、フェイトと渡りあえるほどか、と言われれば否定せざるをえない程度の練度だったはずだ。
「ほんっと、嫌になっちゃうわよねぇ…。このままじゃ、すぐに私なんて追い抜かれちゃうわよ」
そう言って空中でぶーたれるリリー。どっちにしろもうあの場に介入できるとは思えない、このまま最悪の事態に備えてここで待機しようと考え始めたその時
「これは?」
リリーの黒髪に隠れた長い耳がピクリと動く。上空での、フェイトとなのはの魔力同士の衝突と共に、下の方で何かが少しずつ大きくなっていくのを感じたからだ。
嫌な予感を振り払えないままリリーは自分の足下を見渡す。まず、純吾達を見つける。違う、そこではない。次に、フェイトの使い魔の狼の戦いを見つける。しかし、彼女もフェイトと連動して魔力が膨れ上がるなんてことはしない。
「――っ、まずい!」
焦りを振り払うようにリリーは視線を上空へと向けた。そこには、膨大な魔力を集めつつあるフェイトとなのはの姿があり、集った魔力は、今にも解き放たれんと解放の瞬間を待ちわびる様に激しく明滅する。
「いけない! それ以上、魔力をぶつけたら――――」
翼をはばたかせ、必死に上空の二人に向かってリリーは手を伸ばした。
しかし、その警
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