第36話 誰が為に戦う(2)
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た音と火花、そして魔力の余波がリリーの全身を叩いた。フェイトは自身の魔法をリリーが薙ぐ瞬間に移動。その後ろにいる、ジュエルシードを持つなのはへ斬撃による奇襲を敢行したのだ。
「くっ…」
しかし、その奇襲はなのは自身の手で防がれてしまった。予想外の防御に、フェイトの秀麗な眉が少しだけ歪む。
平和ボケした彼女になら十分に通じると踏んでいた。しかし、「本気でぶつかる」とぬかした少女はどうやら、そうぬかすだけの実力を備えつつあったらしい。前回ぶつかった時よりも、巧みになった防御魔法と、まっすぐな意志の感じられる青い瞳で今この瞬間もフェイトを見返していた。
「なのちゃん、離れなさいっ」
なのはの後ろからリリーが指示を出す。なのはは魔法に触れてまだ一月足らずの素人であり、並みではないほどの訓練を課されたであろうフェイトに太刀打ちできるはずもない。
安全な距離を保ち、近づけさせる隙を与えないようにして戦うのが無難であり、リリーは自身が杖同士のつばぜり合いに介入する事で仕切り直しを図ろうとした。
だかそれを拒むように、背中越しになのはは叫んだ。
「お願いリリーさん、このまま私に任せてくださいっ!」
「んなっ、なに馬鹿なこと言ってるの!?」
「馬鹿って言われても…。私一人で戦わなきゃ本気だって、信じてもらえないのっ!」
なのはは言葉と一緒に『Flash Move』を起動。くるぶしに生じさせた羽をはばたかせ、フェイトを押し上げる様にその場から移動した。
「…私を馬鹿にしているの?」
ビルの隙間を飛び出し、更に上空へと押し上げられながらフェイトはなのはを睨みつける。
自身がどれだけ辛酸を舐めて今の力を手に入れたか、その努力を侮辱されたような気持ちになるのだ。目の前の少女は素人にも関わらず、圧倒的有利だった環境をかなぐり捨て、自分との一対一の形を望んだのだから。
自分達の事が知りたいというのなら、自分達に勝てばよいのだ。勝てば自分の持つジュエルシードを奪取できるうえに、お望み通り自分達を調べる事ができるのだ。
もっとも、フェイトも、ここにいないアルフも勿論、そうさせる気は微塵もない。むしろ、この状況を利用して、少女の封印したジュエルシードを奪う事を狙うべきだろう。
だから、適当な高さにまで来た事を確認すると、フェイトは膠着したつばぜり合いを無理やりにとく。そして、鎌状に形成した杖を振り上げ構える。
「馬鹿にしてなんかない。私はフェイトちゃんの事が知りたくて、でも、それは無理矢理でも、フェイトちゃんを傷つけてでもって訳じゃないの。
だって、フェイトちゃんの寂しそうな目、それを私は知ってるから」
真っ直ぐにレイジングハートをフェイトに向け、なのはは答える。なのは
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