第36話 誰が為に戦う(2)
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地上で、ビルの隙間をぬって、戦いは続く。
「ちょこまかとぉっ!」
狼の姿となったアルフが苛立ちをそのままに純吾達に光弾を次々と放った。数十の光弾が純吾の目の前を塞ぐように降り注ぐが、純吾はそれをスキルの一振りで薙ぎ払う。
処々で光が弾け、一瞬だけ両者の姿を互いから隠した。
「ヒーッ、ホー!」
その隙をついて、フロストエースが種族スキルである【夢幻の具足】を使い跳躍。唐突にアルフの横っ腹に現れた。
知覚すらできていないアルフに向かって腕を突き出す。瞬間そこに魔法陣が展開、雹よりも二周り以上大きい氷の礫がそこから躍り出た。
しかしそれを視認するよりも早く、野性の勘がアルフをそこから跳び下がらせた。飛行魔法の応用で瞬時に空に足場を作り氷塊を回避。
そのまま空中にとどまるアルフは、フロストエースと純吾が合流するのを忌々しげに見下ろす。
「くそっ、一体坊やはどれだけレアスキル持ちの使い魔がいるっていうんだい」
純吾の連れてきた新しい使い魔を見て吐き捨てるように言った。
アルフがフロストエースの事をそう言うのも仕方がない。彼女からしたら、純吾の連れてくる仲魔は毎回理解の及ばない力で以て彼女を阻むのだから。
だからと言って、相手を理解しようであるだとか、一体純吾達はどんな存在なのかを考えるであるだとか、そういう事を考えるという方へは行かない。
戦いの最中は目の前の事についていくのに全神経を尖らせ、そうでない時間はフェイトに尽くし、その求めるものを邪魔する純吾達に怒りを燃やす。温泉街から帰ってからのアルフは、ずっとそんな調子だったのだから。
ゆえに、そこに相手を慮る感情など生まれるはずもなく、目の前の純吾達に対する敵意だけが彼女の中に激しく渦巻いてゆく。身体を喰い破らんとするほどの荒々しいそれに身を任せ、アルフは再度、空中から純吾達に向かって強襲を仕掛けた。
本来奪い取るはずの、ジュエルシードから段々と遠ざかっている事も考えずに。
封印したはずのそれから、鈍く、荒々しい光が、断続的に漏れ始めている事に気が付きもせずに。
一方、純吾達の上空。
『Thundr Smasher』
金髪の少女――フェイトの杖から雷光が発せられる。直線的ではあるが、まさしく雷の速さでそれは彼女の敵対する2人へと迫って行く。
「効っかないわ、よっ!」
普通なら認識すらできないそれを、黒髪の女性――リリーが手を横に薙いで弾く。その勢いのままもう片方の手で【ジオ】をフェイトに向けて放とうとするが、フェイトの姿は既に見えない。
「リリーさんっ!」
リリーの後ろで待機していた少女――高町なのはの焦った声が響く。それとほぼ同時に、固い金属同士がぶつかっ
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