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三つのオレンジの恋
第三幕その七
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第三幕その七

「私の勝ちだからな」
「ベッドでは私の方が上よ」
 これまた実に赤裸々な言葉である。
「それをわからせてやるわ」
「勝手にしろ。それでだ」
 ここまで話したうえでファタ=モルガーナに問うのだった。
「これからどうするつもりだ」
「どうするですって?」
「御前は今は敗れた」
 問うのはこのことと密接に関係のあることであった。
「早く逃げないと大変なことになると忠告している」
「ええ、確かにね」
 周りは敵だらけである。何しろ悪事が公になって追放が決定したクラリーチェ達の仲間だったからだ。それがわからない筈もなかった。
「それはね」
「では早く逃げ去るのだな」
「先に地下で待っているわ」
 こう言うとだった。あらためてクラリーチェ達三人を見て告げた。
「あんた達もよ」
「私達も?」
「一緒にですか」
「スメラルディーナは当然だし」
 自分の召使いだからであった。
「あんた達とは縁ができたしね。追放がとけるまでの間匿ってあげるわ」
「反省したら戻してやる」
 王もここでクラリーチェとレアンドルに告げた。
「それまで頭を冷やすのじゃな」
「そういうことよ。それじゃあ」
 王の言葉も受けあらためて三人に言うファタ=モルガーナだった。
「私の世界にね」
「何かおっかないけれど」
「そうも言ってはいられないか」
 スメラルディーナを除いた二人は幾分か以上に不満そうではあった。
「地下っていえば小鬼もいるし」
「魔物も大勢いるし」
「そこで頭を冷やせ」
「ゆっくりとな」
 二人の周りで喜劇役者とピエロ達が飛び跳ねて踊りながら告げる。
「そして改心するのだ」
「そうすれば御前達は救われる」
 悲劇役者と詩人達は遠くから告げる。
「さもなければ馬鹿になるのだ」
「馬鹿になるのも確かにいいな」
 道化師は呆けた者達の今の言葉に頷いた。
「少なくとも悪巧みはしない」
「確かにな」
 パンタローネも彼の今の言葉に頷く。
「それもまたいいな」
「はい、その通りですよ」
「では行くわよ」
 早速三人を後ろにして魔法を仕掛けにかかる魔女だった。その間もチェリーを見据えてそのうえで言うのであった。
「今夜覚えておくことね」
「わかったから早く行け」
「それじゃあ」
 ここまで言って激しい爆発と共に姿を消すファタ=モルガーナと三人だった。こうして騒がしい者達はこの世から姿を消したのであった。
 そうして残った一同は。王の音頭で言うのだった。
「では皆の者」
「はい」
「それでは」
「乾杯だ。そして祝おう」
 その手に葡萄酒を満たした杯を手にしての言葉である。
「王子と王女の幸せをな」
「はい!」
「永遠の幸せを!」
 二人を中心に今婚礼を祝うのだ
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