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立派な魔法使い 偉大な悪魔
第六章 『邂逅』
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者がその正体に気が付いた。
 銀色の髪に赤いコートを着た男。間違いない。ダンテだ。
 ダンテはネギ達に構うことなく、引き抜いたエボニーとアイボリーの狙いを宙へ打ち上げたアビスへ定める。そして連続して引き金を引いた。マシンガンの様な連射速度で撃ち出される弾丸が、次々にアビスを撃ち抜いていく。
 そして蜂の巣にされたアビスが、重力に従って落ちてくる。

「Ha―Ha!」

 そこへダンテが回し蹴りを見舞う。綺麗に入った蹴りによって、アビスは直線に近い軌道を描いて飛ばされる。その先にはリベリオンが墓標に突き刺さっていた。あまりの勢いに、アビスの身体はリベリオンの柄から突き刺さる。
 高位の悪魔といえど流石に命尽きたようで、力無く四肢が垂れる。その光景は、まるでそのアビスの為に用意された墓のようである。

「Come on!」

 ダンテのその言葉に反応してリベリオンがアビスの死体から離れ、ダンテの元へ戻っていった。アビスの死体はどろりと溶けだし、液体となって消えてしまった。
 戻ってきたリベリオンを振るって血を飛ばし、背中へ戻したダンテがネギ達へ向き直る。

 英雄の血を引くダンテとネギ・スプリングフィールド。出会うはずのなかった二人が、ここに会した瞬間であった。





「行ったようですね」

 魔法の矢を無詠唱で放っているエヴァンジェリンへ、アルが話しかけた。

「そうだな」

 ぶっきらぼうにエヴァンジェリンは返すが、目は「さっさと言え」と言っている。アルが話したいのは別の事だろうと察していたのであろう。アルもエヴァンジェリンの目には気が付いており、本題をぶつける。

「このままいけば、ネギ君は間違いなく彼の姿をした――いえ、彼そのものである造物主と戦わなければならないでしょう」

 アルが明言を避けて言う『彼』とは、ネギが追い続け、エヴァンジェリンも捜し続けていた『ナギ・スプリングフィールド』の事だろう。

「聡いネギ君の事です。彼がどんな状態かは勘付いているでしょう。そして彼を救うには、彼を殺すしかないことも。ネギ君はまだ子供です。そうそうそのような決断は出来ないでしょう。特にネギ君にとって彼は“特別”な存在ですから」

 どうやらアルが言うには、造物主に肉体を支配されている場合、殺すしか方法はないようだ。
 確かに、それはネギにとっては決断しがたいだろう。肉親に手をかけることなど、たとえ世界の命運を背負おうとも、おいそれとは出来ない。父を追い続けていたネギにとってはなおさらだ。

「エヴァンジェリン、貴女にこのようなことを聞くことも酷だとは思っています。ですが師匠として、ネギ君が造物主を、肉親を殺すことが出来ると思いますか?」

 ナギはネギのとって“特別”な存在である
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