第六章 『邂逅』
[6/14]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
た目で睨まれたならば、人間ならそれだけで恐れおののくだろう。だが、今回は違った。
口角を上げる愉快そうな表情とは裏腹に、凍てつく様に蒼い目。悪魔達を見るその目は、見下すでも、まして憎悪するものでもない。ただただ深く、冷たい目。
恐れたのは悪魔の方だった。
気が付けば前衛にいた者は下がっていた。皆、エヴァンジェリンが魔法を発動させることが分かったのだろう。
「――えいえんのひょうが」
エヴァンジェリンは魔法を発動した。魔法が発動した瞬間、空間が凍てついた。
放たれた魔法は、150フィート(約46m)四方を絶対零度近くにし、空間内にあるものを一瞬にして絶対零度近くに凍結させてしまうものだ。それを悪魔がひしめき合うところに発動したことで、大部分の悪魔が氷の彫刻と化す。
さらにこの魔法は、これでは終わらない。
「全ての命ある者に等しき死を」
エヴァンジェリンが放ったのは、あくまでも術の第一段階だ。更に詠唱が続く。
「其は、安らぎ也」
その呪文は、氷漬けにされ、死を享受する者に対する最後の宣告であり、鎮魂の言葉だ。
そしてエヴァンジェリンは指を鳴らして、魔法の終幕を告げる。
「『おわるせかい』」
その言葉と同時に、数多の悪魔の氷像は粉々に砕け散った。
砕け散った氷の破片はダイヤモンドダストの様に輝き、元が悪魔とは思えないほど幻想的な光景を生み出していた。
「行ってこい、ぼーや」
聞こえないように、エヴァンジェリンは言った。それは、これまで以上に過酷な試練に向かう弟子に向けての、師匠としての餞別の言葉だ。
「皆さん! 行きます!」
ネギの合図とともに魔界へ突入するメンバーが飛び出したが、それを逃すまいと悪魔が群がろうとする。だが斬撃と銃撃と魔法の援護により悪魔達は撃ち落とされる。その隙にネギ達は、禍々しく口を開く空間の裂けへ飲み込まれるようにして消えていった。
※
ネギ達は、魔界へと足を踏み入れるなやいなや、悪魔達の出迎えを受けていた。エヴァンジェリン達の援護のため幾分かは楽になっている筈だが、数に物を言わせるように悪魔がネギ達へ迫る。
「凄い数でござるな」
楓が感嘆の声を漏らしつつ、小太刀や苦無で悪魔を斬る。素早い動きは流石忍者と言うべきか。
「掴まっていて下さい、お嬢様!」
一方、純白の翼を生やした刹那は、木乃香を抱きかかえながらも野太刀を振るう。その様子はまさに姫と騎士といった様相だ。
そしてネギは杖にまたがり、呪文を唱えていた。杖には、前からネギ、のどか、朝倉がまたがっていて、最後尾に古菲が立っていた。古菲はアーティファクトの神珍鉄自在棍と体術で悪魔達を薙ぎ倒している。楓と刹那と古菲が悪魔達を引き付
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ