第六章 『邂逅』
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かっただけである。
「だが分かっているだろうな? このままだと迎える末路だ。己を滅ぼす事になるぞ」
覚悟だ。エヴァンジェリンの深く蒼い目が、ネギの目を射抜く。品定めするような、値踏みするような、試しているかのような目だ。
そのエヴァンジェリンの目を、ネギは見つめ返す。
「はい。僕が、自分で決めた事です。これからの覚悟は、もう出来ているつもりです」
ネギは答えた。真っ直ぐでいて綺麗すぎない、どこか遠くを見るような目で。
「ッまさか……! そうか……」
その目に何かを感じ取ったのか、何かに気付いたのか。エヴァンジェリンはネギに背を向けて、ただ一言そう言った。どことなくトーンが落ちたその言葉は得心からきたものなのか、または不満だったのか。エヴァンジェリンの真意は分からない。
ただ一拍置くと、よく聞こえる張った声でネギ達にむけて口を開いた。
「ならいい、さっさとあのバカを取り返してこい」
「ありがとうございます、師匠」
ネギはただ一言礼を述べると、足早に離れて行った。
人知れず「……バカ弟子が」と呟いたエヴァンジェリンのその言葉は、ネギを含めた誰の耳にも届いてはいなかった。
墓守り人の宮殿の上空では、詠春やゲーデル、近右衛門達が前衛として悪魔を迎え撃っている。
退魔の剣術を操る詠春とゲーデルは遺憾無くその力を発揮していた。速く鋭い剣は悪魔達を肉塊に変え、血潮を噴き散らす。
また近右衛門は、分身を用いた体術を主体に戦っていた。老齢な見た目とは裏腹に、その動きは激しくまた無駄がない。繰り出される掌や脚は衝撃と共に悪魔を蹴散らしていく。
後方からは、前衛の彼らを縫うように銃弾や魔法の矢が飛び交い、寸分の狂いもなく悪魔を撃ち落としていく。
「『契約に従い、我に従え、氷の女王」
そしてエヴァンジェリンは上空に浮遊しながら、呪文の詠唱を行っていた。どうやら前衛が引き付けている間にエヴァンジェリンが呪文を詠唱し、ネギ達の活路を開くようだ。
そしてその呪文は、かつて蘇った鬼神『リョウメンスクナノカミ』を一瞬で葬り去ったものだ。
「来たれ、とこしえのやみ――」
前衛と後方が伐ち漏らした悪魔がエヴァンジェリンへ迫る。悪魔も分かっていたのだろうか? 彼女の放とうとしている魔法の危険さを。発動はさせまいと、悪魔も電撃を放とうとする。だが、もはや遅すぎた。
エヴァンジェリンの姿が霞んだかと思うと、電撃を放とうとしている悪魔の眼前に現れた。そしてその悪魔の角を鷲掴むと、大穴へ向けて放り投げた。
想像以上の力で投げ飛ばされた悪魔は、世界の境界を越えたところで翼を使って制動した。
怒りを宿した目で、己を投げ飛ばした少女を睨め付ける。悪魔の憎悪が込められ
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