GGO編
百十八話 少女と少年の選択
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う事実だ。
……さて。
和人と涼人の予想では、死銃はフルダイブ中の殺害対象に対して、「何らかの薬物を注射」して、標的を死に至らしめた事になっている。
ならば、である。死銃はその致死の弾丸たる薬物を、一体どうやって入手したのだろう?
注射を使う。と言うのは、単純な話点滴を打っているのでも無い限り、それ以外に標的の体内に薬物を投与する方法が無いために予想された方法である。
では、その注射器はどうやって?
注射器、薬物、この両方を揃えるのは、あまり簡単な事ではない。特に、人間を死亡させる恐れのあるような法律で使用が厳しく制限されているような「致死性の薬物」であればそれは尚更だ。
仮に盗み出すにしても、それは容易な事とは到底言い難いだろう。それこそ……「“病院”か大学の関係者でも無い限りは」。
「……っ!」
「クソッ!」
バンッ!と音を立てて、涼人は体に付いていた残りのパッチを少し強引に取り去ると立ち上がり、上着を取ってドアまで行き……其処で振り返った。
「キリトっ!お前は今すぐ菊岡に連絡しろ!多少強引でも良いから無理やり分からせてパトカー寄越せ!」
「わ、分かった。って兄貴俺も……」
「来んなっ!一人の方があっちじゃ多分有利だからな!」
「わ、分かった!気を付けてくれよ……!」
最後の一言は焦りよりも真剣味の強い声で放たれたそれに、涼人は苦笑気味ながらニヤリと笑って答える。
「あいよっと!あぁそれと……!」
それを言う一瞬前だけ、涼人の笑みが濃くなった気がした。
「説明よろっ!」
言って、涼人は走り去り、残った和人の前には……
「「…………」」
「あららぁ……」
状況が全く飲み込めずにポカンとしている少女二人と、面白がるように苦笑を浮かべている看護士一人の姿が有った。
――――
『クソッ……』
内心で自分に悪態を付きまくりながら、涼人は走った。
今予想出来る最悪のイメージ。これはあくまでも、イメージでしかない。
あくまで今から詩乃の家に向かう理由は、アイリの家と違って詩乃の家にまだ死銃の実行役が残っている可能性が有るからだ。だから急ぐのは当然だ。そう、涼人は考えたかった。
『頼んでもねェのに勝手に働いてんじゃねぇよ……』
しかし涼人の頭の中では、今もまだ鳴りやまない警鐘がガンガンと響いて居た.
この状況はマズい。急げ、急げ!と、頭の中で自分の信頼する勘が叫んでいる。だからこそ、涼人はより一層地を蹴る脚に力を込めた。
「…………」
願わくば、自らも友人と思った少年が無実である事を祈って。
────
「朝田さん、居る?僕だよ。朝田さん!」
つい先ほどBoBから現実世界への帰還を
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