第百十三話 オレの勝ちだな!
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にいる皆の思いでもあった。
だが勘違いしてはいけないのは、そんなことができるのは闘悟だけだということだ。
空間を魔法で操るのではなく、一方的に破壊できる人間がこの世に何人もいるわけがない。
「オレの魔法で空間を破壊できるように改変した。あ、安心しろよ。あくまでも改変したのは、オレの魔法でのみ空間を破壊できるってことだ。それ以外は変えてねえ」
つまり闘悟以外の魔法は、今まで通り【絶対に傷つかない】という事象は守られるということだ。
「お前さんには『不動魔法』はもう通じないってことじゃな?」
「まあな。まあ、勝者の条件っつうことで」
闘悟はニカッと笑いながら言う。
すると、いきなりバンリドは笑い始めた。
「ははははははは!」
突然前触れも無く笑い声を上げ始めたバンリドを皆は不審に見つめた。
それはそうだ、その笑い声からは、自暴自棄(じぼうじき)の感じも、悲哀(ひあい)の感じも伝わってはこない。
それどころか、心底から晴れ晴れしい楽しそうな感情が流れてきている。
「いや〜負けた負けたぁ!」
そう言いながら立ち上がり、闘悟の肩をポンポンと叩く。
「まさかこんなふうに負けるとは思っとらんかったわ!」
「そうか?」
「おう、しかもお前さん、手加減までしたじゃろ?」
「……何のことだ?」
惚(とぼ)けるように言ってみる。
だがバンリドは半目を作りながら見つめてくる。
「惚けても無駄じゃ。お前さんの魔力なら、もっと別のやり方があったじゃろ?」
へぇ、さすがにバレてたか。
まあ、こんなに近くでオレの魔力を感じれば察することができるわな。
闘悟が諦めたように息を吐く様子を見てバンリドはニコッと笑う。
「あの時、物理的に空間を破壊するより、俺の精神を攻撃する方が簡単じゃったろ?」
その通りだった。
闘悟の魔力はあまりにも膨大だ。
幾ら空間を固定させ、肉体的ダメージから身を守っているとはいえ、中身は正真正銘の人間だ。
その膨大な魔力は、容易にバンリドに感じさせ、魔力酔(よ)いを起こさせてしまう。
もちろん、常人の魔力では不可能な事例だ。
闘悟のように、並外れた魔力があって初めて成せることだ。
もしあの時、闘悟が解放した魔力に攻撃意思、つまり殺気を含んでいたとしたら、バンリドの精神力では耐え切れず彼は卒倒(そっとう)していただろう。
だが闘悟は、その方法を取らなかった。
「何でわざわざ改変するっちゅう、面倒な方法をとったんじゃ?」
すると、闘悟は微笑しつつ言葉を出す。
「オレはさ……」
「ふむ……」
「別に『不動』に勝ちた
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