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剣の丘に花は咲く 
第八章 望郷の小夜曲
第二話 友達
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は何とも言えない苛つきを覚え、不満と苛立ちが入り混じった声を上げる。

「メイジじゃないあんたには分からないだろうけど、ゲートが開いたってことは、もうっ、もうシロウは死んだって言うことなのよッ!!」
「確かにわたしはメイジではありません。サモン・サーヴァントについても良く知りません。でも、分かることはあります」
「何が分かるっていうのよ……っ!?」

 地の底から響くような重く低いルイズの声に、シエスタは不敵な笑みを返し応える。

「シロウさんが生きていることがです」

 言葉に出すことで自信を得たのか、何時の間にかシエスタの身体の震えは止まっていた。逆にルイズの身体の震えは大きくなる。理由が分からない苛立ちや不満に顔を歪ませたルイズだったが、不意に笑いだした。

「はっ……ははは……ふん……あ、哀れね……あんたはただ、シロウが死んだということを信じられないだけよ……根拠のない理由で、シロウの生に縋るあんたは……はっ、ははは……笑えるほど哀れね」
「……それはわたしのセリフですよミス・ヴァリエール」
「なにを―――」

 ルイズの声を遮り、シエスタが笑い出す。

「ふふっ……サモン・サーヴァントのゲートが開いた? だからシロウさんは死んでいる? そんな理由でシロウさんの死を信じてしまったあなたの方が……笑えるほど哀れですよ」
「っ!! 哀れ? 哀れですってっ?!」
「ええ、本当に哀れですね。だってつまりあなたは、シロウさんとの繋がりは使い魔契約しかないと言っているんですよ」
「っ!」

 シエスタの言葉に目を見開くルイズ。

「あれだけ騒いでいた癖に、シロウさんとの絆が契約でしかない……ですか……本当に哀れですね」
「っッ!!」

 パンっ! という乾いた音が響く。
 一瞬で髪を逆立てさせながら、ルイズの手がシエスタの頬に叩きつけられる。

「……図星を指されて起こりましたか」

 頬を張られた衝撃で横を向いたままの姿で、シエスタはポツリと呟く。シエスタの頬は、闇の中でも分かる程赤く腫れている。頬を張られた衝撃で、口の中を切ったのか、閉じた唇の端から、つぅっと細い血の糸が流れる。
 シエスタは顔を横に向けたままの姿勢で、横目で眼下のルイズを見下ろす。

「言い返せないから暴力で訴える、ですか……全くあなたという人は」
「っ! 五月蝿いッ!! 出てけっ!!」

 シエスタの視線から逃れるように、ルイズは顔を背けると声を荒げると、枕など近くにある物を投げつけ始めた。 

「っ、く……っ」
「出てけっ!! 早く出てけぇっ!!」

 憎悪に光る視線を向けられながら、シエスタは物を投げつけられる。
 どれだけ罵倒されても、硬い物を投げつけられ、身体に痣や傷をつけられても、シエスタ
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