第八章 望郷の小夜曲
第二話 友達
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単に死ぬと思いますか?」
「……七万の軍を相手にしたのよ」
むくれた様子を見せるルイズに、シエスタは不敵な笑みを返す。
「ええ、でも、シロウさんならきっと大丈夫です」
「……どうして、そんな自信を持てるのよ」
「……ミス・ヴァリエール。あなたとシロウさんの絆は、使い魔の契約だけではない筈ですよ」
にっこりと笑ったシエスタは、呆然と見上げてくるルイズの胸に指を突きつける。ルイズはシエスタに突きつけられた自身の胸を見下ろす。
「きっと、あなたにも感じられる筈です……目を閉じて……強く、強く想ってください。シロウさんのことを……絶望に染まった想いではなく、ただ純粋にシロウさんのことを想ってください」
シエスタは自分の胸に手を当て目を閉じる。
「きっと、感じられる筈です。シロウさんを」
「……シロウを……感じる? ……シロウを……ぁ……ぇ?」
シエスタと同じように胸に手を当て目を閉じたルイズが、身体の奥に感じた暖かな気配に戸惑いの声を上げる。
ルイズには、その気配に何処か覚えがあった。
それは……自分が求めてやまないもの。
繋がりが絶たれた筈の人の暖かさ。
「これ……な、に?」
「さあ? それが何なのかはわたしも分かりません。でも、それを感じるのはわたし達だけじゃないみたいですよ。ミス・ロングビルもミス・ツェルプストーもジェシカも感じている見たいですよ」
初めて感じるその気配に動揺するルイズに向かって、シエスタは肩を竦めてみせる。
「え? え? ミス・ロングビル? キュルケ? ジェシカ? ど、どういうことよ?」
「まあ実は、わたしも最近気付いたばかりなんですけどね」
「え? あれ? え? し、シエスタ?」
わけが分からず、縋るような眼差しを向けてくるルイズの様子に苦笑を浮かべると、シエスタはくるりと身体を回し、ぽすんとベッドの上のルイズの横に座った。
「わたしもシロウさんが死んだと思い込んで、同じように落ち込んでいたんです。何にもやる気が起きなくて、船の上でずっとボーとしていたわたしを、ジェシカがわたしがミス・ヴァ
リエールにしたみたいに引っ張り上げてくれたんです。まあ、ジェシカはわたしみたいに優しくないから、最初っから水じゃなくて平手打ちでしたけどね」
ジェシカに叩かれた記憶を思いだし、左の頬を撫でながらシエスタはシミジミと呟く。
「シロウさんが生きていると信じられず、絶望していたわたしを叩きのめ……叩いて、ジェシカは『シロウは生きてるッ!!』って断言しました。その言葉が余りにも確信に満ちていたから、どうしてそんな風に確信出来るのか聞いたら……」
「……聞いたら?」
小首を傾げながら続きを求めるルイズに、シエス
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