暁 〜小説投稿サイト〜
〜烈戦記〜
第六話 〜初仕事〜
[6/12]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
た。



北門に近付くにつれてどんどん人が減っていった。
こんな事はこの狭い陵陽関ではまず起こりえない。
やはりこの先では凱雲が何かしら兵士の受け入れの為の準備をしているのだろう。

そう思うと普段が混雑している事もあり、自然と僕は小走りになっていた。



『急に北門を使うなと言われてもこっちも困るよ!なんとかしてくれよ!』
『本当に申し訳ない!だが勘弁してくれ!こちらも急だったんだ!』

北門に着くと、一人の兵士が何やら商人達と揉めていた。
多分受け入れ関係だろう。
話の途中ではあるがあの兵士に凱雲の居場所を聞こう。


『いや困る!もう受け入れ先が着く頃なんだ!なんとかしろ!』
『だから何度も言うようにここに上役が…』
『ちょっとごめん!』
『あ?なんだ帯坊か!すまんがちょっと後にしてくれ!』
『ん?帯坊ってあの豪統様の息子かい?なら丁度いい!ちょっとこいつらをどかしてくれないか!?』
『え?』

今なんて?
どかす?
急に話を振られるとは思わず間抜けな声を出してしまった。

『お、お前何を言って』
『私等商人は信用が命なんじゃ!しかし、こいつらは私等が築き上げた信用を崩そうとしやがる!だから頼む!今回の仕事はもの凄く大切なんじゃ!こいつらをどけてくれ!』
『え、えっと』
『帯坊!こいつの話は聞かんでええ!どっか行っててくれ!』
『あんたここの責任者の息子だろ!?なんとかしてくれよ!』
『ちょ、ちょっと考えさせて!』
『帯坊!』
『さすが豪統様の息子じゃ!話がわかる!おいっみんな!!豪統様の息子がどうにかしてくれるってよ!!』
『え?え?ちょっ、ちょっと!!』

今の商人の大声で周りでも揉めていた商人達がこぞって集まり始める。
え、なにこれ。
まずい。
これじゃあ明らかに僕がこの問題の責任者じゃないか。
しかも、僕はこの関に来たばかりでここの規則や商人達との関係なんて何一つ聞かされてない。
そんな僕が責任者?
無理に決まってるだろ!

だが、ここでもしも軽々しく発言してしまえばそれこそ収集がつかなくなる事は目に見えてる。
考えろ!
考えろ!

『ま、まずい事になっちまった…ッ!た、帯坊!凱雲様を呼んで来るから絶対早まるなよ!』
『あ、ま、待って!』

そういうと兵士は僕の静止を聞く前に商人達の中に消えてしまった。
…嘘でしょ。



既に商人達が充分に集まってしまい、今か今かと僕の発言を待っている。
だが、僕は本当は責任者なんかじゃない。
それに責任者だと言ったわけでもない。
…だが。

『おい坊主!まだか!?こっちも急いでるんだよ!』
『早くしてくれよ!』

既にこの商人達の間では僕はこの問題を解決できる人間だと
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ