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〜烈戦記〜
第六話 〜初仕事〜
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帯坊ッ!すまんかったッ!ワシは頭に血が登るあまりに帯坊の気持ちも考えんと…ッ!』
『だ、大丈夫だよ!頭あげてよ!』
『すまんかった…ッ!すまんかったッ!』

その兵士は泣きながら頭を地面に擦り付け続けた。
気づいたら周りの兵士達もみな涙を浮かべていた。

…そうだよね。
みんな悔しいよね。
みんな父さんの事大好きだもん。
だから。

『…みんなもいい?絶対に問題起こしちゃ駄目だからね?』
『…』

どうやらみんなわかってくれたようだ。
だからこそ僕はみんな以上に頑張るよ。
大好きな父さんをこれ以上傷付けない為に。


『と、ところでさ!?凱雲がここにいないってなると、どこにいるかわかる!?』

僕は急いで涙を拭って笑顔を作る。
だが、一度落ち込んだ雰囲気は中々消えない。
いったん彼らをこの場に放置した方がいいのかな。

『…多分北門じゃないか?』

一人の兵士が答える。
北門?
何故?

『ワシは昨日内宮に呼ばれた一人なんじゃが、兵の受け入れをしろって言われてたから多分そこじゃないか?兵士の何名かも今朝急に北門に呼ばれたみたいじゃし』
『本当か?そんな話ワシは聞いとらんぞ?』
『ワシもじゃ』
『あ、ワシは数名北門に行った事は知っとるぞ!兵舎から今朝出て行くのを見たぞ!』

どうやら凱雲は北門にいるようだ。

『ありがとう!北門に行ってくる!』

僕は急いで練兵所の出口へ向かう。
だが、一つ気がかりを思い出し振り返る。

『あ、みんなはこれからどうするの?』
『ん?そうじゃな…』
『やる事がないなら兵舎に戻っててもいいと思うよ?多分凱雲は訓練どころじゃないと思うし…』

そういえば凱雲は昨日父さんの仕事もしてたんだ。
そして凱雲にも多分訓練以外にも仕事があるはずだ。
そして今、普段日課にしてる訓練を放置してる辺り父さんの仕事を優先していたのだろう。
そう考えると凱雲は今日訓練所に顔は出せないだろう。
それに普段から訓練ばかりなのだ。
たまには休暇も必要だ。

だが、兵士達の反応は違った。


『だったら尚更俺らは堕らける訳にはいかんじゃろ』
『え?』
『じゃな。帯坊達が頑張っておるんじゃ。ワシらだけ怠けとるのもバチが当たるわい』
『それに凱雲様の事じゃ。私等が訓練を疎かにした事が知られでもしたらそれこそ"貴様ら!兵士の自覚があるのか!"と殴られそうじゃわ!』
『はははっ!確かに言いそうじゃ言いそうじゃ!』
『よし!そうと決まれば訓練じゃ!』
『『オーッ!!』』

驚いた。
彼らがこんな真面目な事を言うなんて。

でもよかった。
みんなにまた活気が戻った。
これで安心して僕は僕の役目に集中できる。

僕は練兵所を後にし
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