第二十八話 ご開帳その十三
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「本堂の中に入ってね」
「ええ、じゃあ今からね」
「行って来るわね」
二人はのっぺらぼうの言葉に頷いてそうしてだった。
鐘のところから離れて本堂の方に向かいその扉を開けた、そして中に入ると。
その鬼よりも怖い顔の不動明王の木像があった、顔は一つで手は二本だ。背中には燃え盛る炎もある。右手には剣、左手には索がある。
その不動明王の前まで来た、だがだった。
何もなかった、木造の本堂の中は至って静かだ。
その静かな本堂の中を見回しても全くだった。
「ここもだったわね」
「そうね」
中を見回すことを終わってから二人で顔を見合わせて話す。
「泉じゃなかったわね」
「そうね」
こう二人で話す。
「じゃあ次の場所ね」
「神社に行こう」
もう次の場所は決めていた、それで神社の話は終わった。
そのうえで二人で本堂を出て扉を閉めてから一つ目小僧達のところに戻った、すぐにお菓子を手に取って言った。
「ここも違ったわ」
「泉じゃなかったわ」
こう二人に話す。
「次は神社に行くから」
「ここは終わったよ」
「そうなんだ、じゃあ今日はどうするの?」
「これからは」
「お菓子食べてお茶飲んで」
「それで終わりかしら」
言いながら早速あべかわ餅を二人で食べている。
「このあべかわ餅美味しいしね」
「おはぎもあるから」
「おはぎも美味しいよね」
一つ目小僧がそのおはぎを食べつつ言う。
「まあお寺は甘いもの多いからね」
「一応お酒は飲めないからね」
「だからよね」
「そう、一応はね」
一つ目小僧は二人と共に刺のある感じで語った。
「飲めないからね」
「般若湯があるけれどね」
愛実は言った。
「そういうことにして飲むからね」
「うん、あれはお酒じゃないんだよ」
あくまでそうだというのだ。
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