TURN70 ドクツ軍の崩壊その九
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それで彼女もこう言った。
「では」
「うん、エイリスに降伏ね」
「ですが統領」
ユーリはここでムッチリーニに、彼女も確かな顔になって告げた。
「統領には指一本触れさせませんので」
「えっ、どういうことなの?」
「常にお傍にいます」
そしてムッチリーニを護るというのだ。
「ですからご安心下さい」
「えっ、いいよそんなの」
「私だけではありませんので」
ユーリは微笑んで自分の申し出を拒もうとするムッチリーニにさらに告げた。
「祖国殿もおられますし」
「ちょっと、今聞いたけれど!」
「そんなの駄目だからなこの野郎!」
部屋にいきなりイタリア兄弟が入って来た。丁度ムッチリーニの部屋に入ろうとしたところで二人のやり取りを聞いたのだ。
二人は狼狽しきった声でムッチリーニの前で身振り手振りを交えて話しだした。
「駄目だよ、命を粗末にしたら!」
「エイリスに処刑されたらどうするんだよ!」
「俺達もイギリスに頼み込むから!」
「傍にいるから変なことはさせねえからな!」
「だから安心してよ!」
「最悪でも軟禁位にしてやるよ!」
「祖国ちゃん達も・・・・・・」
ムッチリーニは必死に訴えるイタリア達を前にして目を丸くさせた。
「そう言ってくれるの」
「だから死なないでよ!」
「命粗末にするなよ!」
「そうだよ、統領」
「あたし達もいるからね」
イタリア兄弟が開けたままにしていた扉のところに今度はイタリア妹とロマーノ妹がいた。これでイタリン組が揃った。
「まあ兄貴達が傍にいてさ」
「あたし達もいるから」
「統領の身の安全は絶対に守るよ」
「だから安心してね」
「皆、有り難うね」
ムッチリーニは何とか泣かなかった。微笑んで彼等に応えた。
「じゃあ今から皆で降伏しに行こう」
「丁度エイリス軍も来てるからね」
「それじゃあね」
イタリア妹とロマーノ妹が案内し一行はエイリス軍に向かった。そして降伏の交渉を行いイタリンはここで白旗を挙げた。
それを軍港で聞いたロンメルはまずは微笑んでこう言った。
「そうか、ベニス統領は命は保障されたか」
「ああ、エイリスの方でも最初から処刑は考えてなくてな」
「そこはあっさりと決まったよ」
プロイセン兄妹がそのロンメルに話す。
「あの統領さんは別荘に軟禁、イタリン全土は一時エイリスが軍事統治」
「どっちも終戦の時点で終わる予定だってね」
「随分と寛大で何よりだ」
「結局エイリスもイタリンは敵に思ってないからな」
「だから寛大なんだよ」
彼等の寛大の理由はそこにあった。
「で、統領さんはユーリさんとイタちゃん、ロマーノと一緒にいるよ」
「姉妹が一応国に残ってるよ」
「わかった。そして我々にだな」
ロンメルはムッチリーニ達へ
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